夫婦円満の秘訣には、夫婦喧嘩が必要なのか…。
あ、冷蔵庫にプリン。
食べちゃおっと♪
モグモグ
!
あ。
ううぅ……。
あ…、もしかしてこのプリン…。
ごめん…。
(いや待てよ…、ここで俺が謝ったら丸く治まってしまう…。夫婦円満の為には、喧嘩をしなければならないんだ)
お前のプリンなら、今俺の胃の中にいるぜ。
ひぐっ…、ひっく…。
プリンにちゃんと名前を書いておかない方が悪いんじゃないか。
うわああああああん!!
よし、これでギクシャクしたな。後は仲直りしてお互い理解し合い、絆を深めていけば夫婦円満…!
ぐずっ…、
ごめんな。お前のプリンだとは知らず食っちまって。また買ってきてやるから。
!
私に近づかないで!
プリンを食っちまったぐらいで拒絶するなんて、カワイイ奥さんだな…。
でも、このままじゃいけない。早く仲直りしないとマズイな。
どこ行った?
!
あの、さっきのプリンの件なんだけど…。
こっち来ないで!
イラッ
話ぐらい聞いてくれたっていいじゃないか!
こうなったら…。
大人の仲直りをするしかないな♡
すんっ…、すんっ…。
プリンの事はもう許してよ。
その代わり、今夜は君をプリンみたいにとろとろぷるぷるにしてあげるよ♡
触らないで!
いいじゃないか! 好きなんだろ?
むしろベッドの上で仲直りするのを待ってたんじゃないのか?
やめて…、助けて…。
どうした、美紗子。
あ…、あなた…。
「あなた…? 誰だお前、何人の家に勝手に上がりこんでるんだよ。これは俺たち夫婦の問題なんだよ」
お前こそ誰だ、おい。
キッチンに行ったら、この人がいて…。私のプリンを食べてたのよ。
「だから、プリンの件は散々謝ったじゃないか!」
それで、私を犯そうとして…。
「犯そうとしたんじゃない。大人の仲直りをしようとした訳で…!」
お前…、不法侵入や冷蔵庫を漁って、おまけに人の妻に手を出すとは…、何て野郎だ!
「おいおい、勝手に俺の妻を盗ってんじゃないよ。この女は俺の妻なんだ。これ以上ウチにいるなら警察呼ぶぞオイ」
警察に行くのはアナタです!
「あれ…、おかしいな…」
「奥さん、俺のことわかる?」
アナタなんて知りません! 見たこともありません!
「おい、プリン食ったぐらいで旦那を忘れるとか、どんだけ根に持ってるんだよ。下らないことでいちいち警察沙汰にするんじゃないよ」
旦那? 私が? あなたの? 何言ってるんですか? 頭大丈夫ですか?
ふざけてるのかお前? それとも頭イカれてるのか?
「何言ってるんだよ、俺だよ。ケンジだよ! お前の! 夫の! ケンジ!!」
「結婚の約束もしたじゃないか! 忘れてしまったのか? 信じられない! なんて女だ!!」
「あっ? 何するんだ、離せ! えっ? 警察? ちょうど良かった! このスーツの男をしょっ引いて下さいよ!」
早く連れて行って下さい!
お願いします。
「ふざけんな! 美紗子! プリン食ったぐらいで俺を警察送りにするなんて頭おかしいんじゃないのか!!」
「今すぐ取り消せ! そうすれば許してやらんこともないぞ。 離婚もしないし、これからもっと愛してやるから!」
「なぁ、頼むよ…。頼むから俺のこと許してよ。美紗子…。悪かったから…。もう二度とプリン食べないからさ。」
「もう一回やり直そう…。今度は絶対上手くいくから…。お願いだから目合わせてくれよ…。」
「もしかしてこれってドッキリ? 俺のお前への愛を確かめるドッキリなの? いやぁ、参った! まんまと引っかかっちゃったわ!」
「大丈夫だよ。こんなドッキリしなくても、俺のお前への愛は変わらない。それどころか大きくなっていってるんだ。」
「俺はお前のこと、世界で一番好きだからああああああ!!!」
隣の家に変質者が出たって聞いた?
何でも昔奥さんにフラれた男らしいわよ。でも本人は婚約したつもりって思い込んでるんだって。
やあねえ。粘着ストーカー男って怖いわー。