あぁ、困ったな……
あら、お兄ちゃん
おや、妹じゃないか
どうしたんだい？
別に、喉が渇いたからお茶を飲もうと思っただけ
ところで、お兄ちゃんは何してるの？
ぼ、僕は少し捜し物を……、ね？
捜し物ってぇ～、もしかしてコレ？
……何故、貴様がそれを持っている？
べっつにぃ？拾っただけだしぃ
気持ち悪いわよねぇ～！魔法少女写真集なんて！！
変態！変態！変態！！
残念ながら、僕はマゾじゃないんでね
それに、その魔法少女写真集……
写ってるのは誰かなぁ？
わ、私ぃ！？
家の押し入れから出てきてね
落としてしまったのをお前が拾ったようだな
な、何でこんな物が
おやおや、父さんと母さんの親馬鹿さを忘れたのかい？
さぁ、魔法少女になってみようか？
はぁ～？何言ってんの
第一、衣装があるはずないでしょーが
それになるつもりも無いしぃ
これは何かなぁ？
ま、魔法少女のコスプレ……！！
しかも私のサイズぅ！？
年長者を舐めるなよ
さ、部屋に行こうか
ま、そんなのがあっても私は着ないし！
コスプレ衣装代金の無駄遣いねぇ！！
ほぅ、兄に口論で勝てるほど自惚れるか
父さんのケーキ、部屋にある雑誌
さらには昨日の帰宅時間……
ど、どうしてその事を！？
年長者を舐めるな、と言っただろう？
こ、この変態兄貴が！！
何とでも言うが良いさ
男ってのは、目的の為には手段を選ばない
無駄な抵抗はせずに、部屋に向かおうじゃないか
く、くそぉ……！！
こ、これで良い？
いやぁ、カワイイね
流石は僕の妹だ
自意識過剰ね！別にアンタの妹じゃなくても……
いや、違うね
僕の妹で、お前だから可愛いんだよ
へ、変なこと言わないでくれる！？
本気さ
それはそうと、早速……
そ、その写真機は何！？
本格的だろう？あるツテから用意したのさ
さ、撮ろうか
嫌よ！気持ち悪い！！
本当に変態ね！私の純情が危ないわ！
実の妹は襲わないよ
幾ら可愛くても、大切な妹だ
涙は絶対に見たくないからね
えっ……
カシャッ
隙ありだ
しまったぁああああああ！！
さ、もう一枚
ハッ！もう撮らせるはずないでしょ！？
大人しく諦めて部屋に帰りなさい！！
こんなにカワイイ妹を写真で残さないで、何に残すんだい？
その手に引っかかると…
僕はね、お前を愛しているよ
世界中の女性が霞んでしまうぐらいに
大好きだ、妹
そ、そんな手には……
だけど、解ってる、解ってるんだ
僕とお前は結ばれない運命……
言うなれば禁断の愛…
……恨めしいよ、僕は
どうしてお前と家族に産まれてしまったんだろう
そうじゃなければ、お前と結婚できたのに
お兄ちゃん……
……妹
お兄ちゃん！？ち、近いよ！！
僕は、お前を愛している
……！
例え、父さんと母さんから勘当されても構わない
お前を愛せるのなら、全てを捨てるよ
お兄ちゃん……
……今日の、今だけで良いんだ
僕の恋人になってくれないか？
えっ！？
…ごっこ、で良いんだ
僕は馬鹿だ
変態だし頼りがいがないし、お前にも嫌われてる
だけど、今日の、今だけで良い
お前を愛したいんだ
お……、お兄ちゃん……
……妹
お兄ちゃん……！
カシャッ
はい、お疲れ様
はぁああああああああ！？
いやいや、中々のノリだったよ
主演女優賞物だね、これは
今の！？全部！演技ぃ！？
勿論だとも
男は手段を選ばない、と言わなかったかな？
こ、この卑怯者！！
何とでも罵るが良いさ！僕はマゾじゃない！
まぁ、全部が全部、嘘とは言わないけどね
えっ……？
さて、アルバムの写真も増えたことだし
部屋に帰るとするかな
お、お兄ちゃん！？
じゃぁね、大好きな妹♪
ちょ、ちょっと！！
バタンッ
……行っちゃった
……でも、全部が嘘じゃないって？
………
…お兄ちゃんの、馬鹿
