十年前、俺はこっくりさんをした。
生き方がわからない俺は、こっくりさんを呼び出し、自分が進むべき道を教えてもらった。
その通りにやっていったら、可愛い彼女もできたし、ホワイトな会社にも就職することができ、
俺は幸せな人生を掴むことができた。
ただ一つを除いて。
こん、こん
あの日から、耳元で「こん、こん」という泣き声がしてうるさいのだ。
こっくりさんの終わらせ方が悪かったのか、憑りつかれてしまったらしい。
こん、こん
こっくりさんを追い返すには、油揚げを差し出すのが良いらしい。
こん、こん
ほら、油揚げやるから帰れ。
すると、こっくりさんはその油揚げにご飯を詰めだした。
何やってるんだ?
ご飯を詰めた油揚げを、俺の前に差し出す。
ホント、私のいいなり(稲荷)だね。
ぷふっ
こっくりさんは吹き出すと、そのまま消えていった。
その日を境に「こん、こん」という声は聞こえなくなった。
そんな下らない事を言うために、わざわざ10年ぶりに現れたのか。
ホント、こっくりさんはよくわからん。