“自称勇者の冒険~9話目~”

~前回までのあらすじ~

ピンチになった賢者さんを救う為、 俺はダンジョンの中を駆けた!

しかし賢者さんは賢者さんで 自力で魔物達を蹴散らしていて 俺の出番はまるで無かった!

そんな中、 俺は拾った腕輪を装備して 経験値10固定という恐るべき呪いを その身に受けてしまった!

俺の冒険は 果たしてどうなってしまうのか!!

………

……

あれから八日…… 俺達はついにダンジョンの最下層 までやってきた……。

勇者 「ついに辿り着いた……!!  ついに辿り着いたぞぉぉぉッ!」

魔法使い (何このテンション……)

勇者 「俺達はついにっ!  ダンジョンの最下層まで  辿り着いたんだっ!」

勇者 「あれから八日間……  ここに来るまで長かったぜ……」

勇者 「さあ!お宝はどこだ!?」

勇者 「お!あの祭壇にあるアレか!?」

魔法使い 「あ、ちょっと!  何があるか分からないわよ!」

勇者 「ここまで来た俺には  もう怖いものなんか無いっ!」

勇者 「うおぉぉぉおおおおおッ!!」

??? 「させ……るか……」

賢者 「あ、危ないッ!」

勇者 「よっしゃー!お宝ゲッ……」

俺は宝箱に手を伸ばそうとした。 しかし突然何かに突き飛ばされた。

勇者 「そげぶっ!」

魔法使い 「ゆ……勇者ッ!」

賢者 「勇者さんっ…!」

勇者 「いてて……な、何だ…?」

??? 「宝は……渡さん…」

そしてそれは暗闇から現れた。

??? 「また愚かな人間が…  この宝を狙って来たか…」

??? 「だがそれもここまでよ…。  お前達も今までの者達のように…  ここで息絶えるが良い……」

勇者 「な、何だ!?  このウサギみたいな生物は!」

魔法使い 「………ウサギ?」

賢者 「わ~、可愛いですね~」

??? 「貴様ら…  我を馬鹿にしておるのか?」

勇者 「えっ…どう見たって  ウサギだろ?」

??? 「我はウサギではない……」

ウサデス 「我は魔王様に仕えし迷宮の番人…  迷宮の番人ウサデスだ……!」

勇者 「ウサ……デス……?」

ウサデス 「そうだ…我の名はウサデス…」

勇者 「ウサデス……ウサギデス…  ウサギです?」

ウサデス 「我はウサギではない!  ウサデスだ!」

勇者 「そんな事はどうでも良い!  それより魔王だと!?  お前は魔王の部下なのか!?」

ウサデス 「……貴様……」

ウサデス 「…まあ良い。  そうだ…我は魔王様に仕える者…  そしてこの迷宮のボスよ…」

ウサデス 「貴様らにあの宝を持ってゆかせる  わけにはいかんのでな……。  ここで消えて貰うぞ…勇者よ…」

勇者 「俺を簡単に倒せると思うなよ!  仮にも俺は勇者なんだからな!」

ウサデス 「ククク…  たかが勇者に負ける我では無い…  その身に思い知らせてやろう…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

魔法使い 「あんな事言ってるけど…  何か方法はあると思う?」

賢者 「無いんじゃないでしょうか~。  呪いもかかったままですし~」

魔法使い 「まあピンチになったら  助けてあげてもいいわね…」

勇者 「行くぞ、ウサデスゥゥゥ!!」

ウサデス 「クックック…来い勇者…。  3ターンで終わらせてやる…」

勇者 「喰らえ…必殺のぉぉぉおおお!」

ウサデス (…正面から突っ込んで来たか。  だが低レベルな貴様の攻撃など  我には効かぬぞ……)

ウサデス (ふふふ…まずは様子を見るか)

勇者 「必殺!勇者ザ・耳つかみッ!」

勇者はウサデスの耳を掴んだ!

ウサデス 「!?」

勇者 「アーンド……投げる!!」

ウサデス 「ちょっ……おまっ……」

勇者はウサデスを投げた!

ウサデス 「ぐえっ!?」

勇者 「アーンド……剣投げ!!」

勇者はウサデスに 錆びた剣を投げつけた!!

ウサデス 「がはっ!」

勇者 「とどめだ!!  必殺のぉぉぉ……」

ウサデス 「あっ…ちょっとやめ……!」

勇者 「さっきそこで拾った……  火薬壺を喰らえぇぇぇぇえッ!」

ウサデス 「ぎょぇえええええッ!!」

ウサデスを倒した! 経験値を10手に入れた!

勇者 「ふっ……。  最後の一撃は…切ない…」

魔法使い 「これは…酷い…」

賢者 「……私もです」

勇者 「えっ」

ウサデス 「くっ…おのれ勇者ぁ……」

勇者 「まだやるつもりか、ウサデス!」

ウサデス 「クックック……。  もう貴様らと戦う気など無い…」

ウサデス 「だが覚えておけ……。  この世界を支配するのは…  魔王様である事を……」

ウサデス 「貴様のような者では……  魔王様には勝つ事は出来ない…」

ウサデス 「ふ…不完全な…偽りの勇者…など  …ま、魔王様には敵わぬ…!  ましてやただの人間などな!」

勇者 「………!」

ウサデス 「き…貴様はいずれ…  己の運命に苦しむ事となろう…!  そ…その時を楽しみ…に…」

ウサデス 「……もふっ……」

勇者 「…………」

魔法使い 「……終わったわね」

勇者 「………ああ」

魔法使い 「ねえ、アンタ……」

魔法使い 「いや……いいわ」

勇者 (不完全な偽りの勇者……。  ウサデスは俺の正体を……  知っていたのか……?)

魔法使い 「………」

勇者 「…………」

魔法使い 「…とにかく、お宝を持って  早く地上に帰りましょうか。  あなたの事はあとで良いわ」

勇者 「………ああ」

賢者 (勇者さん……)

勇者 (俺は………)

俺は本当に勇者で良いのか…?

………

……

つづく…。

B
e
f
p
q
r
s
K
O
Keyboard Shortcuts
  • J Next page
  • K Previous page
  • [ First page
  • ] Last page
  • E Enable/disable bubble animation
  • 0 Manual page turning
  • 1 Slow page turning
  • 2 Normal page turning
  • 3 Fast page turning
  • P Start/stop auto page turning
  • ? Show keyboard shortcuts
Play Again
More Stories
Posted at 2012/07/26 19:50 Viewed 21 times

From Author

シリアス展開。

Comments

Login to Write your comment