“魔法少女、辞めました。 #04”

前回までのあらすじ!

一年経って本部に帰ってきたヌコー。

しかしそこで見たものは、 豪邸からコンビニへと姿を変えた原形をとどめていない本部と

ヌコーの事を忘れてしまったハカセであった!

ヌコーはハカセから現在のリーダーがルリだという事を聞かされるが、 逆に命を狙われてしまうのだった。

一方その頃モモはルリと対峙する。

しかし圧倒的なルリの力に敗北し、 魔法少女の力を奪われて しまうのだった!

………

……

~マホの自宅前~

ヌコー 「ふー…やっと辿り着いたぞ」

ヌコー 「ここが魔法少女マホの家か」

ヌコー 「実際に見たのは初めてだが、 ずいぶん大きな家じゃないか」

ヌコー 「よし、早速中に入るか」

ヌコー 「えーっと…インターホンは……」

ダダダダダッ!!!

モモ 「チェストぉぉぉおおお!!!」

ヌコー 「ぐぇっ!?」

モモ 「そこの怪しい黒い影っ!! マホの家の前で何してるのッ!!」

ヌコー 「ま…待ってくれ…私は違」

モモ 「問答無用ッ!!」

ゲシッ!!

ヌコー 「だからやめ……って、お前は!?」

ヌコー 「魔法少女……モモ!!」

モモ 「ん?私の事を知っているの? 黒い影の人っ……いやネコ?」

ヌコー 「ああ、知っているとも」

ヌコー 「君は魔法少女マホのパートナー… 魔法少女モモ、だという事をな」

モモ 「あなた……何者?」

ヌコー 「私はヌコー」

ヌコー 「魔法少女派遣機関の リーダーだった者だ」

モモ 「魔法少女派遣機関って…」

モモ 「……え?もしかしてマホがずっと前に言ってたところの…?」

ヌコー 「そうだ。まあ詳しい話は中でしようじゃないか」

ヌコー 「私も君達に話があるのでね」

モモ 「え、ああ……うん」

………

……

ピンポーーーーーーン。

マホ 「……はい」

ヌコー 「魔法少女マホ! ここを開けてくれ!」

マホ 「……魔法少女?知らない子ね」

ヌコー 「魔法少女マホ! 君に頼みがあるのだ!!」

マホ 「…私、魔法少女じゃないけど」

ヌコー 「君にしか出来ない事なんだ! お願いだ、話を聞いてくれ!」

マホ 「…魔法少女は辞めたのだけど」

ヌコー 「じゃ、せめて話だけでも… 話だけでも聞いてくれ!」

マホ 「………」

ヌコー 「頼むっ……お願いだからっ……」

モモ 「ちょっと、何やってるのよアンタ! そこどきなさい!」

ヌコー 「うわ何をするやめ……」

モモ 「マホ、いる?私だけど。 ちょっと用があるからここ開けて?」

マホ 「……モモ」

マホ 「…分かった。今開けるわ」

ガチャッ。

ヌコー 「やぁ!」

マホ 「えっと……誰?」

ヌコー 「うぉい!やめてそういう反応!」

ヌコー 「会った事あるだろう!? ほら、魔法少女にした時、ほら!」

ヌコー 「魔法少女派遣機関本部で、 会った事あるでしょ!?」

マホ 「ああ…確かミケ…」

ヌコー 「違う!!!」

マホ 「……ポチ?」

ヌコー 「だから違うって!」

ヌコー 「私の名前はヌコー! 魔法少女派遣機関のリーダーだ!」

マホ 「あぁ…確かそんな名前だったわね」

ヌコー 「おい」

マホ 「…で、私に何の用? 私…もう魔法少女は辞めたのよ」

ヌコー 「君の力が必要なのだ!」

マホ 「……私の力が?」

ヌコー 「話は少し前に遡る……」

マホ 「長くなるならまた今度にして…」

ヌコー 「まあ聞け」

ヌコー 「一年前、君が魔法少女を辞めた すぐ後に……」

ヌコー 「新たにルリという名の少女が 魔法少女になった」

ヌコー 「新世代の魔法少女という事で我々は彼女に期待を寄せていた」

ヌコー 「思った通り彼女の力は とてつもなく素晴らしかった」

ヌコー 「ハカセから聞いたところによると…」

ヌコー 「彼女はわずか七日で100以上の悪の組織を壊滅させたという」

ヌコー 「しかし彼女は変わってしまった」

ヌコー 「いや、元々そうだったのかもしれん」

ヌコー 「今の彼女の目的は、 全ての魔法少女を消去する事だ」

ヌコー 「このままでは多くの魔法少女が犠牲になってしまうだろう」

ヌコー 「だから私は君に彼女を止めてほしいと思っているんだ」

ヌコー 「彼女を止める事が出来なければ、 恐らく次に消去されるのは…」

マホ 「………」

ヌコー 「お願いだ…マホ。 今一度力を貸してくれ」

モモ 「…私からもお願いするわ。 マホ、戦って……!」

マホ 「モモ……」

モモ 「実は私…ルリって子と戦ったんだけど負けちゃって力を奪われてさ…」

モモ 「でもマホなら…マホならあの子に勝てると思うから…お願い…!」

モモ 「戦って……マホ!!」

マホ 「………」

モモ 「マホ……」

ヌコー 「頼む…君にしか出来ない事なんだ。 世界が、未来がかかっているんだ」

ヌコー 「だから戦ってくれ。 魔法少女マホ……!!」

マホ 「……ごめんなさい」

モモ 「そんな…何で…!?」

マホ 「……言ったでしょう? 私はもう魔法少女は辞めたの」

マホ 「だから…もう戦わない」

マホ 「私はもう…二度と戦わないの」

モモ 「マホ……そんな……」

マホ 「悪いとは思ってる…。 でも、私は戦わないわ」

マホ 「もう…戦うのに疲れちゃったの」

マホ 「私以外の他の魔法少女に頼めば良いじゃない……」

モモ 「あの子に勝てそうなのはマホしかいないんだよ!だから……」

マホ 「……結局、あなたも私の力しか 必要ないのね」

モモ 「え……?」

マホ 「あなた達はいつも力、力って…」

マホ 「どうせ私の事なんて、悪と戦う為の武器としか思ってないんでしょ?」

マホ 「倒せない敵が出てきたら、それ以上に強い武器がほしいものね…」

モモ 「それは…それは違うよ、マホ…」

マホ 「……何が違うの? 何も違わないと思うけど」

ヌコー 「……確かにそれは一理ある」

モモ 「……ヌコーさん!?」

ヌコー 「君達魔法少女は悪と戦う武器…それはある意味間違ってはいない」

ヌコー 「望んでもいないのにある日突然魔法少女にされ、戦わせられる……」

ヌコー 「その事に不満を持つ事は分かる。 …誰でもそうだ」

ヌコー 「その事については謝っておこう。 全て私の責任だ」

ヌコー 「私が魔法少女としての素質を 持った者を選びだした」

ヌコー 「そして君達を魔法少女にしたのだ」

マホ 「………」

ヌコー 「いつかその事で咎められる時が来るなら、私は全ての罪を背負う」

ヌコー 「だから魔法少女マホよ。 もう一度戦ってはくれまいか?」

ヌコー 「……頼む、このとおりだ」

マホ 「……帰って」

モモ 「マホ……」

マホ 「……帰ってよ……」

モモ 「……っ」

ヌコー 「……どうしても駄目か?」

マホ 「………」

ヌコー 「そうか、分かった。 ではもう君の手は借りない」

ヌコー 「君と我々の関係もここまでだ」

ヌコー 「もう戦わなくてもいいぞ」

モモ 「ちょっ…ヌコーさん!?」

ヌコー 「……行くぞ、魔法少女モモ。 もうここに用はない」

モモ 「あ、ちょっと……!」

モモ 「マホ……」

マホ 「……早く帰って」

モモ 「っ……もう、 マホなんか知らない!」

ガチャッ……バン!!

………

……

マホ 「色々…酷い事言っちゃったかな、私……」

マホ 「やっぱり…駄目だよね…。 このままじゃ……」

………

……

ヌコー 「…とは言ったものの……。 これは非常にまずい事態だ」

モモ 「まあ……うん……」

ヌコー 「魔法少女マホの助けが得られなかった以上ルリに対抗する手段は無い」

ヌコー 「まずい…非常にまずい……」

モモ 「もう一回…話してみようかな…」

ヌコー 「まあ待て。恐らくもう一度行ったとしても同じように断られるだろう」

モモ 「それじゃあどうすれば……」

ヌコー 「そりゃあ…アレだよ…」

ヌコー 「私が何とかするしか無いだろう」

ヌコー 「この…創世の魔法少女であるこの私がなっ!!!」

モモ 「……えっ!? 何それ初耳なんだけど」

ヌコー 「今言ったからな」

ヌコー 「まあ見てわかる通りだが、今のこの姿はただのフェイクだ」

モモ (いやそんなの分からないよ…)

ヌコー 「変身すれば本来の姿が発揮される……はずだ」

ヌコー 「にしても変身するのは数十年ぶりだから上手く変身できるかどうか…」

モモ (一体何歳なのよ…)

ヌコー 「さあ、そうと決まればルリのところへ行くぞ!!」

ヌコー 「私の究極変身でルリを倒す!!」

モモ 「えっ、私も行かなきゃ駄目なの?」

ヌコー 「当たり前だ!決戦だぞ!」

ヌコー 「そこらへんは察するのが礼儀というものじゃないか!?」

モモ 「はぁ……」

ヌコー 「よし、それじゃあルリのところまで歩くぞ!」

………

……

一方その頃……

ミコ 「くぅっ……何て強さなの……。 こんなの勝てるわけない……」

ルリ 「あはははっ!弱い!弱すぎるわ!」

ルリ 「これでこの町の魔法少女はあなたで終わりねぇ!あはははっ!!」

ミコ 「どうして…同じ魔法少女なのに…」

ルリ 「同じ?あなたと私が?」

ミコ 「そうよ…それなのに何でこんな…」

ルリ 「あははは!笑わせてくれるわねぇ! あなたと私が同じ?あははは!」

ミコ 「な、何よ… 何がおかしいのよ…!?」

ルリ 「だって全然違うじゃない……」

ルリ 「強さも素質も…あなたは私以下! それなのに私と同じ?」

ルリ 「笑わせてくれるわねぇ……」

ミコ 「あなたはっ……!!」

ルリ 「あはははは! もう良いわ、消えなさい!!」

ミコ 「ただで力を奪われるわけには…」

ルリ 「深淵なる闇の炎よ…ここに来たりて我に刃向う愚か者を消し去れ!!」

ルリ 「ジエンド・オブ・ダークネス!!」

ミコ 「闇を打ち払う光よ…ここに来たりて悪しき者を打ち滅ぼせ!!」

ミコ 「シャイン・ブレイカー!!!」

ドゴォォォォオオオオオオオオン!!

ミコ 「きゃぁぁぁぁぁあああああ!!!」

ミコ 「うう…ち、力が……」

ルリ 「あはははは!! これで力は私のモノ!!」

ルリ 「これでこの町の魔法少女は全て私が倒したわ……!!」

ルリ 「もはやこの町に私の敵はいない…」

ルリ 「でも…まだ倒さなくちゃいけない愚か者達はいるわねぇ…?」

ルリ 「…この町、前々から気に入らないと思ってたのよねぇ」

ルリ 「あははは!まずはこの町から跡形もなく消してあげようかしら!」

ルリ 「私なら出来るわ…。 この力さえあれば……ふふふ」

ルリ 「あはははははははは!!!」

ルリ 「さて…それじゃあまずは最後のこの力を頂いちゃいましょうか」

ルリは取り出した力に手をかざした。

それはゆっくりとルリに吸い込まれていくようにして消えた。

ルリ 「ふふふ……あぁ、美味しい」

ルリ 「これで……あとは」

ルリ 「そこにいる邪魔者を始末するだけ、かしらねぇ……」

ルリ 「分かっているのよ…? さあ、出て来なさい」

ヌコー 「……バレていたか」

ルリ 「あら…誰かと思えばヌコーじゃない。生きていたのね」

ルリ 「それと…あなたもいるのねぇ」

モモ 「っ……」

ヌコー 「ルリ……お前を倒しに来たぞ」

ルリ 「私を倒す?どうやって?」

ルリ 「もしかしてそこにいる元魔法少女と協力して倒そうとでもいうの?」

ルリ 「笑わせてくれるわねぇ…クククッ」

ルリ 「そんな事、出来るわけがないわ」

ヌコー 「無理かどうか…自分の目で確かめるんだなっ!!!」

ヌコー 「いくぞっ……!!」

ヌコー 「変身っ………!!!」

ピカァァァァーーーーーーッ!!

ルリ 「なっ…この光は一体何…!?」

ヌコー 「見せてやろう……」

ヌコー 「これがっ…創世の魔法少女だ!!!」

ルリ 「創世の魔法少女…!?」

キラァーーーーーーーーンッ!!

ヌコー 「創世の魔法少女(?)、 ここに見参ッ!!!」

ヌコー 「魔法少女ルリよ…!! お前は私が倒す!!!」

ヌコー 「創世の魔法少女の名にかけて!!」

モモ (少女でもないわ!! 何もかも違うよ!?)

ヌコー 「細かい事はどうでもいい!! とにかくお前を倒すぞ、ルリ!!」

ルリ 「ククク…こんなのが創世の魔法少女とはね…」

ルリ 「もはや少女でも何でもないじゃない。笑わせてくれるわ…!」

ルリ 「はっきり言って私以下ね。 相手にする価値もないわ」

ヌコー 「それはどうかな……?」

ルリ 「何ですって……?」

ヌコー 「仮にも私は、この世界では全ての魔法少女の原点となった者…」

ヌコー 「他の世界ではどうかは知らんが…」

ヌコー 「この世界では間違いなく原点にして頂点……」

ヌコー 「さあ…… 戦いを始めようじゃないか…」

ヌコー 「文字通り最後の戦いをなぁ…!!」

ルリ 「クックック…… あなたに私が倒せるかしら」

ルリ 「でも無理ね…あなたは私に勝つ事は出来ない!!」

ルリ 「それを… 今から教えてあげるわ!!」

ルリ 「あはははははははははっ!!!」

………

……

続く……

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Posted at 2014/05/28 21:41 Viewed 7 times

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#04 終わりの始まり

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