“魔法少女、辞めました。#05(終)”

………

……

ルリ 「どうせ誰もいなくなるッ!!!」

ルリ 「あなた達がいくら足掻こうが、 そんなの無駄でしかないのよ!」

ルリ 「それが何故分からないの? あははははッ!!!!」

ヌコー 「無駄だと…?そんなもんはなぁ…」

ヌコー 「やってみなきゃ 分かんねえだろうが!!」

ヌコー 「確かにお前は私より強い…。 それはまあ見ただけで分かる」

ルリ 「へぇ……?」

ヌコー 「今のお前はこの私よりも遥かに上だ。戦っても負けるだろうな」

ヌコー 「だが…それでも私は戦うのだよ!」

ヌコー 「じゃないと私のプライドが それを許さないのでな!!」

ルリ 「……くだらない」

ヌコー 「何だとぉ……?」

ルリ 「だから…くだらないと言ったのよ」

ルリ 「ザコが私より弱いと分かってて、 何故戦うの?」

ルリ 「くだらない…本当にくだらないわ」

ルリ 「あなたも、悪の組織も、魔法少女も全てのものが本当にくだらない」

ヌコー 「貴様ぁ…全てを否定する気か!」

ルリ 「だってそうじゃない…。 この世は不必要なものに溢れてる」

ルリ 「そう…だからこそ不必要なものは無くさなければね」

ヌコー 「不必要……だと?」

ルリ 「ええ、そうよ…全ては不必要なもの」

ルリ 「まあ、私にとって…だけど」

ヌコー 「だから貴様は全てを 消去しようというのか?」

ルリ 「ええ、もちろんよ……!」

ヌコー 「ならば…全力で止めてみせる!!」

ルリ 「やれるものなら、 やってみなさい…」

ルリ 「出来るものならねぇ!!!」

ヌコー 「喰らえ必殺の一撃………!!」

ヌコー 「創世魔法……!!!」

ヌコー 「魔法少女・キィィィック!!!!」

ドガァァァンッ……!!

ヌコー 「はぁ…はぁ……・」

ヌコー 「………やったか!?」

ルリ 「クックック……」

ヌコー 「な、何だと……!?」

ルリ 「あはははは!!その程度なの?」

ヌコー 「ば、馬鹿な……」

ヌコー 「まさかここまでの力とは……」

ヌコー 「私の全力だったのに……!!」

ルリ 「これが全力?笑わせてくれるわね」

ルリ 「全力っていうのはね…。 こうやるのよ!!!」

ルリ 「ジエンド・オブ・ダークネス!!」

ヌコー 「む…無詠唱だと…!?」

ルリ 「あははは!!さようなら……!」

ヌコー 「ぬぉぉぉおおおおおおッ!!!」

ドゴォォォオオオオオオオンッ!!!

ルリ 「あははは!!弱い、弱いわ!!」

ルリ 「創世の魔法少女といえど、 この程度なのね!!」

ルリ 「さて、残すは……」

モモ 「っ……!」

ルリ 「あなただけね……」

モモ 「でも私は……」

ルリ 「ええ、あなたは戦えない。 それは分かっているわ。でも…」

ルリ 「せっかく見逃してあげたのに… あなたはまた私の前に現れた」

ルリ 「だからあなたも消すわ」

ルリ 「私に刃向った者の一人としてね」

モモ 「ひっ……!!」

ルリ 「安心して良いわよ。すぐに済むわ」

ルリ 「ほんの一瞬…ただそれだけよ」

ルリ 「その方があなたも良いでしょ? 痛みを感じない方がね…」

ルリ 「それじゃあ、消えて」

ルリ 「ジエンド・オブ・ダークネス!!」

モモ 「きゃぁぁぁぁぁああああああ!!」

ルリ 「あはははは!!これで……」

??? 「……そこまでよ」

ルリ 「なっ………!?」

パキィィィィイイインッ!!!!

ルリ 「そ…そんな!? 私の魔法が打ち消された!?」

ルリ 「こ…こんな事が出来る魔法少女は」

ルリ 「まさか……!!」

マホ 「…………」

ルリ 「魔法少女……マホ!!!」

モモ 「マホ……!!」

マホ 「遅くなってごめんなさい、モモ」

マホ 「それと…さっきは酷い事言ってごめんなさい」

モモ 「……別に良いよ。 こうしてマホは来てくれたでしょ?」

モモ 「マホが来てくれなかったら、 私駄目だったかも」

モモ 「だから……ありがとう」

マホ 「…許してくれるの?」

モモ 「……ん?」

マホ 「……その、私の事」

モモ 「ん~…そうだなぁ」

モモ 「それじゃ、あとでケーキおごって」

マホ 「……駅前の?」

モモ 「そうそう、駅前の」

マホ 「……しょうがないわね」

マホ 「それじゃあ、 さっさと倒しましょうか」

マホ 「……そこにいる中ボスをね」

ルリ 「……はぁ?誰が中ボスですって?」

マホ 「……もちろんあなたの事だけど」

ルリ 「甘くみられたものねぇ……。 笑わせてくれるわ……!!」

マホ 「…それ、口癖?」

ルリ 「間違っていないでしょう?」

ルリ 「いくら最強の魔法少女といっても、 そんなの昔の話でしょう?」

ルリ 「一年前は最強だったかもしれないけど今は私が最強なのよ」

ルリ 「一年間休んでた魔法少女なんて、私の敵じゃないわ」

マホ 「……だったら、やってみる?」

マホ 「一応言っておくけど、やめた方が良いと思うわよ……」

ルリ 「命乞いのつもり? そんなの無駄よ!」

マホ 「いや、命乞いとか そういうのじゃなくて」

ルリ 「跡形もなく消し飛びなさい!!!」

ルリ 「これが私の究極魔法……」

ルリ 「ジエンド・オブ・インフェルノ!!」

ゴォォォォォオオオオ!!!

ルリ 「あははははは!!!」

マホ 「続けてもう一撃行くわよ!!」

ルリ 「ジエンド・オブ・ワールド!!!」

ズゥゥゥウウウウウウン………!!

ルリ 「あははははは!!跡形も無く消し飛ばしてあげたわ!!」

マホ 「それはどうかしら」

ルリ 「なっ………!?」

マホ 「そんな攻撃、効かないわよ」

ルリ 「ど、どうして…… どうして……!?」

マホ 「どうしてって言われてもね……」

ルリ 「こ、こうなったら……この町ごと消し飛ばしてあげるわ!!!」

ルリ 「私の全ての力を持ってして……あなたもろとも!!!」

マホ 「……やめなさい」

マホはルリの両腕をつかんだ!!

ルリ 「ちょっと…何するの! 離しなさい!」

ルリ 「離すわけないでしょう」

ルリ 「そ…そうよ。この近距離であなたもろとも撃てば……」

ルリ (そうよ、そう……。 最大火力で撃った瞬間に離れて…)

ルリ (そうすればこの子を 消せるはず…!)

ルリ 「あははは!愚かね、マホ!! このまま消し飛ばしてあげる!」

キュィィィイイイインッ……!!

マホ 「だから…やめろって言ったのに」

ルリ 「え……?」

ルリ 「っ……!?な、何これは!? 私の力が…力が吸われ…!?」

マホ 「あーあ……」

ルリ 「な、何なのこれは!! 離しなさいよ!!離せぇっ!」

ヌコー 「説明しよう!!」

モモ 「……あ、生きてた」

ヌコー 「私が死ぬはずがなかろう! 私は創世の魔法少女なのだから」

ヌコー 「魔法少女マホは最強と呼ばれている。その理由とはっ……!!」

ヌコー 「魔法少女マホの特性にあるのだ!」

ヌコー 「魔法少女マホの特性は……」

ヌコー 「あらゆるエネルギーを吸収し、自分の力とするッ!!」

ルリ 「はあ!?何よそれぇっ!?」

ルリ 「そんなの…聞いてないっ!!」

ヌコー 「言わなかったからな、君には」

ルリ 「で、でも…新世代でない魔法少女がそんな事したら…」

ルリ 「その力の大きさに耐えられず、体が壊れてしまうはず……!!」

ヌコー 「そう、そこでもう一つの特性だ!」

マホ 「………ふう」

ルリ 「なっ……何ですって……?」

ルリ 「あの子が溜め息をする度に吸収した力が消滅してる……!?」

ヌコー 「……そう!魔法少女マホが吸収した力はマホが溜め息をする度に…」

ヌコー 「その場ですぐに 消えてしまうのだ!」

ルリ 「そ、そんな……私の力が!!」

マホ 「はぁ……だから言ったのに」

ルリ 「ちょ…ちょっと待って!」

ルリ 「溜め息をする度に力が消えると言ったけどまさかあなた……!?」

マホ 「はぁ…そうね」

マホ 「今はあなたの力を吸収したから、それなりの力は戻ってるけど…」

マホ 「まあ…あなたと戦う前の私は、ただの女の子だったって事かしら」

ルリ 「な……な……な……!?」

ルリ 「そんな…こんなバカな事があるわけが……」

マホ 「はぁ……そんな事言ってもね」

ルリ 「や、やめなさいよ! その溜め息を!」

ルリ 「じゃないと……力が!!!」

ルリ 「魔法少女としての力が!!」

マホ 「良いじゃない、別に消えても」

マホ 「この町の悪の組織は全部あなたが倒したんでしょ?」

マホ 「だったらもういらないわよね」

ルリ 「ま……待ちなさい!まだ私はこの町の支配者に……!!」

マホ 「はい、これで終わりね」

ルリ 「あっ」

ルリ 「へ……変身が!!」

ルリ 「わ、私の力がぁぁぁッ!!」

マホ 「……終わったわね」

ルリ 「ま、まだよ! あなたの力を奪えば…」

マホ 「こっちも時間のようだわ」

ルリ 「……は?」

マホ 「私の力も消えてしまったようね」

ルリ 「なん……ですって……?」

マホ 「これでやっと終わりね。 お疲れ様」

ルリ 「そ……そんな……」

マホ 「これでこの世から魔法少女の力は消え去ったわ」

マホ 「これでもう誰も 魔法少女にはなれないわね」

ルリ 「な…何てことをしてくれたの…」

ルリ 「これじゃあ私の……計画が……」

ルリ 「おのれ……魔法少女マホ……」

マホ 「さてと…やる事やったし、 私は帰るわ」

ルリ 「ちょ…ちょっと!まだ終わってなんてないわよ!まだ私は……!!」

マホ 「そんな事言っても、 もう私魔法少女辞めたし…」

マホ 「ここにいる意味もないし…」

マホ 「家に帰ってゆっくりしたいし…」

ルリ 「本音か!」

マホ 「それじゃ、あなたがどうなろうと知らないけど頑張ってね」

マホ 「帰りましょう、モモ」

モモ 「それじゃ、 駅前のケーキ屋さん行こっ!」

モモ 「もちろんマホのおごりでね!」

マホ 「はいはい……」

スタスタスタスタ……。

ルリ 「おい……ちょっと!!」

ルリ 「くっ…何という事なの… こんな事……ありえないわ!!」

ヌコー 「まあ落ち着け、ルリよ」

ヌコー 「この世の支配者にならなくても、 やれる事は色々あるだろう」

ヌコー 「私から何も言う事はないが……」

ヌコー 「まあ頑張れ」

ヌコー 「それじゃ、私も本部に帰るぞ」

ヌコー 「…まあ気が変わったらでいい」

ヌコー 「本部で働かないか?」

ヌコー 「魔法少女としての仕事は無いが、 まあ雑用ぐらいなら用意出来る」

ルリ 「あははっ…誰がそんな事するもんですか……!!」

ルリ 「私がこんなところで終わるわけないでしょう!!」

ルリ 「また力を集めて…闇の炎をまとってリベンジしてあげるわよ!」

ルリ 「その時まで楽しみに していなさい!」

ヌコー 「それじゃ、また会おう!!」

ルリ 「ちょっと……」

ルリ 「だから無視しないでって言ってるじゃない!!」

ルリ 「………このぉ……」

ルリ 「覚えてろぉぉぉ………!!!」

………

……

二か月後……。

~元魔法少女派遣機関本部~

ヌコー 「では新しく入った 新人を紹介するぞ!」

文 「わー、パチパチ」

ロボ 「ウィーンガガガガガガ!!」

ハカセ 「はいはい、それじゃこっちですよ」

ヌコー 「いやー、一時はどうなるかと思ったけどこうして全部元通り!」

ヌコー 「ハカセも前と同じで何よりだ!」

ハカセ 「は…?前って何の話ですか?」

ヌコー 「いや、ほら私の事忘れてた時の」

ハカセ 「あー…アレですか」

ハカセ 「まあぶっちゃけ私、操られてたりしてなかったんですけどね」

ヌコー 「は?」

ハカセ 「ドッキリに決まってるじゃないですか。やだなあ、もう」

ヌコー 「え……マジで……?」

ハカセ 「本部の改装も 全て私が指揮しました」

ヌコー 「えっ、じゃあ私が親衛隊とかいうのに追われたのは……?」

ハカセ 「ただの仕込みですよ」

ハカセ 「まあルリさんがああいう事したのを知ってた上でのですがね」

ヌコー 「おい」

ハカセ 「ま、そんなわけで新人さんどうぞ」

??? 「は~い!」

ルリ 「…初めまして。ルリです」

ヌコー 「ちょっ……おまっ……」

ルリ 「……何?何か文句があるわけ?」

ルリ 「スカウトしたのはあなたじゃない」

ルリ 「やる事ないから来てやったわよ!」

ルリ 「感謝しなさい! 私に跪きなさい!!」

ルリ 「あははははは!!」

ヌコー 「嫌な予感しかしないんだが…」

ハカセ 「ま、なるようになりますよ」

ハカセ 「それじゃルリさん。 そこの書類整理してください」

ルリ 「あははは!任せておきなさい!」

ルリ (ここで私はここの支配者…)

ルリ (いえ、経営者になってやるわ!)

ハカセ 「……はぁ」

………

……

そして……。

モモ 「おはよ~っ、マホ!」

マホ 「……おはよう」

モモ 「今日も帰りにケーキ屋さん 寄って行こうね!」

マホ 「……また食べるの? 毎日食べると太るわよ」

モモ 「気にしない気にしない~!」

マホ 「……全く」

モモ 「それじゃ、行こっか。 早くしないと遅刻するよっ!」

マホ 「ええ、そうね……」

………

……

モモ 「あ、ここ見て……マホ」

マホ 「ん……」

『魔法少女、辞めました』

モモ 「ここ、今度コンビニが建つみたいなんだよね……」

マホ 「……ふーん」

モモ 「そしたら帰り道に何か買って帰れるから良いよね」

マホ 「まあ……そうかもね」

モモ 「っと……もうこんな時間だよ!」

モモ 「走るよ、マホ!!」

タッタッタ……!!

マホ 「ふう……」

マホ 「コンビニ……ねぇ……」

マホ 「ま……行きましょうか」

スタスタスタスタ……。

そして私は今度こそ、 魔法少女を辞めた。

悪の組織も、もうこの町にはいない。

魔法少女も、魔法少女の力も、 この町から全部消えてなくなった。

これで良かったんだ、と思う。

やっとこれで私は 普通の生活に戻れる。

でもまあ少しだけ寂しいかな。

でも……。

これで本当に終わり。

もしかしたらいつかどこかで、 新しい魔法少女が出るかもだけど。

それは私には関係が無い事。

また別の誰かの戦い。

また別のお話。

それじゃあ私のお話はここまで。

最後に一言だけ言っておく。 本当に一言だけ。

魔法少女、辞めました。

おしまい。

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Posted at 2014/05/29 00:47 Viewed 13 times

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#05 魔法少女、辞めました。

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