『10分だけアイドル』
♪キミのコトが〜大好きぃ〜…
はぁ…アイドルっていいわよねー。
歌って…踊って… キャーキャー言われて…
♪つないだその手は〜離さない〜…
あの右端奥の娘より、私の方が 可愛い気がする…
私もアイドルに、なれるんじゃ…
『アイドル、ならせてあげますよ』
ふぇっ?!誰っ?
どうも。初めまして。 『10分間カエル』と申します。
ひっ…ひぃ〜!か、カエルっ! 無理なのっ!私、カエル駄目っ! 小学生の頃○△✘▼…
落ち着いてください。 私、カエルの姿をしておりますが、 カエルでは、ありません。
じゃあ、なんだって言うのよっ!
『オタマジャクシ』です。 ほら、まだ手足生えてないでしょ?
なるほど…
…って!私がそんな理屈っぽい理由で納得すると思って?!オタマジャクシも、中学生の頃○△✘▼…
まぁまぁ…落ち着いてください。 私は、貴女をアイドルにしてあげようと思い、やって来たのです。
ふぇっ?私をアイドルにっ?
(現金な奴だな…)
さっき『私もアイドルになれるんじゃ』って、言ってましたよね?
うんっ!言った言った!
で…もし、貴女に本当にアイドルになる気持ちが有るなら…
私め、『10分間カエル』が、 貴女をアイドルにして差し上げようという事の次第で御座います。
うんっ!是非!今すぐ! 私をアイドルにして!
あぁ〜…アイドルになったらどうしよぉ〜…。
とりあえず選挙で1位になって…センターになって…ファンとか、沢山できちゃって…
たまに週刊誌に撮られちゃったりするんだけど、人気は保ったまま、惜しまれながら卒業…みたいな?
あ、あの…
何よ!?人が花々しい未来に、胸膨らませてる最中に!
いや…あの…すみません。
先に言っておく事が…っていうか…
私めの名前『10分間カエル』の通り、貴女をアイドルにしてあげられるのも、『10分間』だけなのです。
へっ?なんて?
だから…『10分間だけアイドル』…
なるほど…
…って!?10分で何が出来るっていうのよっ!アイドルよっ!アイドル!10分どころじゃ、アイドルの『ア』の字もうんたらかんたら…
てか、先に言えよなっ!期待させるだけ、させといてっ!詐欺かっ!?詐欺カエルかっ!この詐欺ジャクシ!
(あ〜、逆ギレかよ〜)
(だから嫌なんだよな〜、この仕事)
【つづく】