“魔法少女サンダー☆タケル3”

ヒャッハー! この桜の木はアタイのもんだぁーっ! ウッキキー!

野生に帰りすぎだろ、このバカ女め。

くすん……バカって言われちゃった。

まあまあ。今日はせっかくの課外授業なんだから、みんな楽しくしようよ。ね。

そうだね。タケルくん、さっすがー。

タケルがそう言うなら仕方ない……この俺も、同級生の仲良しごっこにつきあってやるとするか。

えへへ。ありがと。

ば、ばかっ……お、男が、そんな……かっ……か、かわいい笑い方をするな。

うひょーっ! サンダーキーック!

のごぁっ……!

なんか、すごい音がしたけど……大丈夫かな?

心配いらないよ。男なんて、そこの川にでも放り込んでおけばいいのよ。

あの……ボクも一応……男なんだけど……。

ほら、タケルくんはこっちこっち。みんなで女子会開いてガールズトークしちゃおうよ。オムライスなんざ食えるかー、とかさ。

いや、だから……あの……。

じつはこっそり、窓辺屋のオレンジクラスターシュークリームも買ってきてあるんだなぁ。

ええっ……!

あの1日限定50個しか売ってなくて、ひと口かじるとお口の中でサワヤカなオレンジフレーバーがはじけちゃう……。

あの窓辺屋のクラスター爆弾ってみんなが噂する、あの……あの……。

そのオレンジクラスターシュークリームだぁ!!

甘いよ~。おいしいよ~。ほっぺた落ちてトロけちゃうよ~。オスロ・プロセスでも止められないよ~。

ほ~ら、ほら。こっちにおいで~。

クゥ~ン……。

やれやれ……。

タケルのやつめ、順調に女子力を高めているようだな。

それこそが──魔法少女の力の源。

男児の乙女心から生まれる女子力こそが、魔法少女の高い戦闘能力を維持するために必要なのだ。

普通の魔法少女であれば、たった一度の戦闘で魔力を枯渇させてしまい、二度目の変身すらできなくなることもめずらしくはないが……。

タケルの女子力は、FPSの銃器で装弾数が∞って書かれているぐらいに満ちあふれている。

いったい、この無尽蔵の女子力はどこからくるのだ……。

タケル……今はおまえの力に頼らせてもらうぞ……。

なんだよ、課外授業とかってのは……ようするに遠足かよ。ったく……つまんねーな……。

こんなだったら、タケルたちの学年がいるところと、同じ場所でいいだろうがよ……。

おまえ本当に弟好きだねー。

ち、ちげーよ。バカッ!

た、タケルのやつが頼りないから、心配……心配してるだけだっ。

そーんなこと気にしなくてもよ。男なんてのは、勝手に育つもんなんだよ。

そんなに心配なら、弟と結婚しちゃえば?

け……けっ、結婚?

タケルと……結婚かぁ……。

タケルなら……料理も、掃除も、洗濯も……みーんなやってくれるから、いい奥さんになってくれるかなあ。

あの……お姉さん? どんだけマジなんすか……。

まったく……なんて乱暴な女だ……。

暴力的な女は最低だな。やはり女性は優雅で、おしとやかなタイプが一番だ……。

古風な大和撫子タイプとか……そういうおとなしい感じが……。

デーンデーン、デーン♪

ぱぎょっ。

だがまあ、おとなしい中にも芯を感じさせる。やはり、そういう性格でないと……。

ぱぎょぎょぎょ。

ええい! さっきからぱぎょぱぎょうるさいっ……って、うわぁーっ!!

ぱぎょーっ!!

おいし~い。ねえねえ、これ本当においしいよねえ。すご~い。感激しちゃう~。

でしょ~。もー、並ぶの大変だったんだから~。

自家製オレンジピールの苦味をわざと残して、アクセントにしてるところなんか最高だよねえ。

オレンジピールってなぁに?

このオレンジクリームの中に入ってる、小さなオレンジ色のツブツブがあるでしょ。

うんうん。

これね、オレンジの皮を使った砂糖菓子なんだよ~。すごいでしょ~。

そうなんだ! 知らなかったよ~。

タケルくんって物知りだね~。

そんなことないよ~。でもこれよく買えたね。並ぶの大変じゃなかった? すごいよね~。

クマだぁー!

クマがっ……クマが暴れてるー!

大変だぁ! また事件かも?

何があったんだろう……?

……………………。

あれ? 時間が止まってる?

説明しているヒマはない!

えっ……?

今回ご用意いたしましたのは、このダンボール。

魔法の国からみかんを詰めて三千里。

やってきました人間世界。長く旅したダンボール。ふるさとに残した母を思い出しては、枕を涙で濡らす夜もあったでしょう。

泣かせる話だねえ。

そんなダンボールが、心をこめて歌います。歌は──魔法少女、変身!

え? あっ、ちょっと……そ、そんな……ダメぇーっ!

ホンダラホジャマカ、ホーイホイ♪

爆誕! 魔法少女サンダー☆タケル!

タケル! あそこでデビルベアーに人が襲われているぞ!

(このアクセサリー、もうちょっとかわいいのにならないかなぁ……あとお洋服も……)

タケル!

あ。はいはい。うん、今行くね。

フハハハハハハハハハハハハハハ! 誰でもいい! 俺を……この俺を助けてみろ!

ぱっぎょーん。

うわぁ。ごめんなさいいいいっ!

『サンダー毒針フライングエルボーッ!』

ぱぎょーんッ!!

ふう……危なかったわね。

お、おまえは……魔法少女。

ここは危ないわ。さがっていなさい。

助けてくれなどと、貴様に頼んだおぼえは……。

大丈夫よ。

心配いらないわ。誰かに頼まれたからといって、やっていることではないのだから。

みんなを守るって、自分で決めたことだから──でも、ありがとう。

ありがとう……だと……。

私に頼らない、強い心を持った人がいてくれて嬉しいわ。

ぱっぎょー。

相手になるわよ、デビルベアー!!

地球のリングに毒針エルボー!! 華麗に舞います、サンダー☆タケル!

今日の私は……オレンジパワーに満ちていてよ!

ぱぎょぎょぎょー!

またタケルお姉さまの大活躍を見れてしまったわ……。

きょ、今日は大変だったね……。

フン……人騒がせな女のせいで、とんだ迷惑だ。

サンダー毒々モンスター!

ぐはっ!

だ、大丈夫……?

ええい……毒々モンスターではない! サンダー毒針フライングエルボーだろうが!

ファンなら技の名前ぐらい、きちんとおぼえておけ! 間違えるな! 技の使い手に失礼だろ!

あ、はい。すみません。

(そんなのおぼえなくっても、別にいいのに……)

そういえば……あの魔法少女もタケルと名乗っていたな……。

(ギクっ……)

もし、タケルが女だったら……。

い、いや……なんでもない。忘れてくれ。忘れていい……。

サンダーシックスストリングサムラーイ!!

ゲゲボっ!

サンダー☆タケルの活躍により、今日も平和が守られた!

だが、魔界の獣は早くも素材が足りなくてどうしようって感じ。

それでも戦え、サンダー☆タケル!

もうあとは、ずっとデビルベアーでいいかなあ!

次回『女子力高すぎ! 変身解除不能! 敵は日常、サンダー☆タケル大ピンチ!』におぬしもサンダークラッシュじゃ!

やばい! とうとう予告がついた!

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Posted at 2012/06/06 20:45 Viewed 24 times

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キャラを立てるって難しいですね。

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