これは、みんなと山に行った後の 話になるんだ。
セット完了！ じゃあいくぜ、せーのっ！
はい、チーズ！
パシャッ！
っはぁ～、まぶしかった。 カメラのフラッシュって ホント嫌んなるなぁ。
お前気にし過ぎだろー？ そんなんだから彼女のひとりも できねーんだよー
てんめぇ……！
ふふっ。
あはは！いいぞーもっとやれー！
四季おりおりの花が咲き乱れて とてもきれいな場所がある。 そうニュースで宣伝された山に 俺たちは行った。
宣伝の通り、山の平原には 赤とピンクの色をつけた 小さくもかわいらしい花が そこらじゅうに咲いていた。
ふぃー、逃げた逃げた。 さて写真も撮ったし、そろそろ 帰ろーぜ？ 俺ゲームしてぇんだよー
え～？まだ帰らなくてもいいじゃん？ もっとゆっくりしていこうよ～
そうですね。もう少しここで お花を見ていたいなぁ。
でも時間が時間だし、帰ろうよ。 ほら、あっちの家族も 帰ろうとしてるよ？
まぁ、夕方でお腹も空いてたし 帰ることが決まったんだ。
で、その帰り道だ。
あ、あっちにカップルがいるよ～ うらやましいなぁ～
え、どこですか？ わかりません～
くっそ、見当たらねぇーなー 冷かしてやりてぇのに！
ん……ちょっと肩を貸して くれませんか？ だめですか？
い、いいけどさ…… そんなに近づくなよ！ は、恥ずかしいだろ！
ひゅーひゅー！
ははは、お前は見つからない方が いいよ！ ホントリア充だぜ！ リア充爆発しろ！
アイツと彼女はカップルが 見えてたらしく、俺たちを からかっていた。 節穴だって言いたかったのか？
で、それから町に戻った後は 解散して家に帰ったわけさ。
それから次の日、学校だった ……だけど。
え……アイツら、死んだ！？ 嘘だろ！？昨日なんとも なかっただろっ！
ホントだよ、事故が起きて……っ 嘘だったらどんなに良かったか……
俺たちは悲しみくれた。 アイツと彼女の死を。 でも死んだなんて信じられなかった。
葬儀が終わって数週間後、 俺は思い出したかのように 写真屋に行った。
最期に写ったアイツらの思い出を 忘れるわけにはいかなかったから。
おう、写真取ってきたぞ。
……最後に撮った、ですね。 あんなに元気だったのに……
そんな顔すんなよ。 あいつらだって俺たちが 元気無かったら嫌になると思うぜ。
そうですよね。 私達がしっかりしなきゃ。
俺たちは悲しい気持ちを抑えながら写真の入った紙を開ける。
はっ？
え？
そこには、アイツらの姿が 何一つ写ってない写真だけが 存在していた。
な、何でだよ！？ ちゃんと俺たちは写ってるのに！？
カメラが壊れたとか……？ こんなのおかしいですよ。
おかしい。絶対にそこには あいつらがいた。
結局俺たちは原因を突き止め られなかった。 最後の姿だったのに……
……
引っかかる。
アイツらは帰り道、 俺たちの見えてないものが 見えていた。
そして、カメラのフラッシュ。 違和感があった。
……これは絶対に理由がある。
……俺はいてもたっても いられなくなり、山へ向かった。
ん？お前あの山に行くのか？
ああ、どうしても知りたいことが あるんだ。
止めとけ。あの山には死人が 通る道のようなものがある。 わざわざ死ににいくようなもんだ。
……えっ？ 死人が通る道？
いわゆるあの世とこの世をつなぐ 道のようなものだな。 もしそこで死人に見初められたら 終わりだ。
見初められたらって何だよ。 こっちが無視してりゃいいじゃんか。
そこが恐ろしいのだ。 霊感の強い者はそういった者を 見ることも感じることもできる。 最悪、体を乗っ取られるとかな。
俺はおっさんの話を 最初は信じられなかった。
だけど、金縛りや意識を乗っ取られたような話がインターネットで 探すだけでも沢山ある。
だとすると、アイツらは 「見えてしまった」から 「操られた」のかもしれない。
しかし、だとしたら…… もし、俺が見えるようになったら……
……ただいま。
……今……
終わり
