グゥ……グゥ……
ほわわーん。
フォッ、フォッ、フォッ。
ジーーーーーッ。
……うむ、ぐっすり眠っているようじゃな。
……む? 枕元にクリスマスプレゼントが置いてあるの。 どうやら、眠りながら待っていたようじゃな。フォッ、フォッ。
良い子じゃ。 それじゃわしからも、ささやかなクリスマスプレゼントをあげよう。
グゥ……グゥ……
それじゃあの。 フォッ、フォッ、フォッ。
ほわわーん。
さて、次は……ムッ!
きさま! 見ているなっ!?
……格好がサンタクロースっぽくないって? いいんじゃよ、こっちのほうが動きやすいんじゃから!
人が各々頭の中に思い浮かべたサンタクロースの格好、 それらが全て正解であり、不正解なんじゃ。
じゃから、わしだってこの格好で 「サンタクロースじゃ」と言えば、 それがサンタクロースになるんじゃ。フォッ、フォッ。
……何、屁理屈っぽい? ま、間違ったことは言っとらんじゃろ! まったく!
なんじゃ、まだ文句があるのか? ……子供達にあげるプレゼントはどこにあるのか、じゃと?
フォッ、フォッ、フォッ。
わしのクリスマスプレゼントは、「物」ではないのじゃ。 それは子供達の側にいるサンタクロースが、どうにかするじゃろうて。
わしが子供達に贈るクリスマスプレゼントは、「夢」じゃ。 それも、とびっきり楽しい夢をな。
と言っても、その子供自身が思い描く世界が少しでも楽しくなるように、手助けするだけじゃがな。 それ以上のことはできぬ。
わしはただ、子供達に最高の気分でクリスマスという日を迎えて欲しいのじゃ。
……じゃが、わしの手助けがうまく効かぬ子供もおる。心がうまく育たねば、楽しい夢を描くのも難しくなってしまう。
それでもわしは、この手助けが少しでも子供達にとっての糧になることを信じて、「夢」を運び続けておる。
ふと夢が醒めたとき、それまでの楽しい思い出を振り返ることは、決して無駄にはならぬ。 わしは、そう思うのじゃ。
さて……長々と話をしてしまったな。 そろそろ、次の子供のもとに向かわねば。
お前さんも、楽しい夢をみられるといいのう。フォッ、フォッ。
自信が無いのなら、後でわしがお前さんのところに向かうから、待っているのじゃぞ?
それじゃあの。メリークリスマス!
フォッ、フォッ、フォッ……
ー終ー