“【7月第三週】願い叶う日”

願い事を書くとしたなら。

『どうかフラグ建築を最初からやり直させてください』

いや、どう考えたって俺の物語が前へ進まないのは、フラグが立ってなかったからだと思うわけよ。なのでここらで一発逆転目指して……駅前の笹で人生変わったら苦労ないわ。

――

「それで、何故か過去に戻れたわけだが……お、妹が幼い」

? おじさん、だれですか?

「兄の顔が分からないのか!?」

え、唯のおにいちゃんは、もっとかっこうよくて、そんなむさくるしくないもん

どうやら、外見とかはそのままで過去に戻ってきたのか。

変な人に声かけられたら、にげろっておにいちゃんに言われてるので……ごめんなさい!!

とりあえず、妹にフラグが立てられない事は分かった。

そういえば、もうすぐ七夕だね。ほら、笹が飾ってあるからちょっと短冊書いていこうよ

お、あれは昔の俺!

あー、そうだなー

えっと、お願い事とか、決まってるの?

え、そんなの女の子から告白されますようにって書くに決まってるだろ

そっか。そのお願いならさ、私が叶え……

あー、隣のクラスの絵里ちゃんから告白されないかなー

え? あ、うん。……あ、あんたが相手されるわけ無いじゃない

はっ、お前には俺の良さが分からないだけさ

……バカ

あ、俺寄るところあるから、ここでな。そんじゃ

あ、うん。また明日ね!

あー、あいつ馬鹿だな。絵里ちゃんには、その一ヵ月後にゴミを見るような目で振られるのに。

あー、今日も言えなかった……。って、あれ、なんで裕太がいるの!? しかも、何か大人になってる?

「お、お前、俺の事が分かるのか?」

当たり前じゃない。小さい頃からずっと一緒だったんだもん。でも、なんで急にそんなに大きくなってるの?

「なんと言えば良いのか……未来から来たから?」

ふーん。そうなんだ

信じるのか。

それで未来の私たちってどうなってるの?

未来――俺がいた時代では、智花は遠くへ引っ越してしまった。

『じゃあね』  それだけを告げて。

そっか。もう一緒じゃないんだね

「一緒に居たかったのか?」

当たり前じゃない。ずっと一緒だったんだもん

そっか。私、臆病だな

「?」

ねぇ、私のことを忘れないでずっと居てくれた?

「そりゃ、忘れないだろ」

だから、ここに居るんだって。

そっか。なら、私の願い事も決まった。叶う事は無いかも知れないけどね

そう笑う彼女の顔を最後に、気が付いたらまた駅前に佇んでいた。

「そうだよな。過去になんていけるわけが無いよな」

別れた人と会える事なんてない。過去を変えることなんて出来ない。

もう、何暗い顔してるの?

「え?」

それでももし、別れた彼女と出会えるなら、

あの時の願い。『一緒に居れますように』って願い。叶うのに五年もかかっちゃった

それはきっと七夕しかない。  別れた二人が出会うのに、これ以上の日は無いのだから。

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Posted at 2013/07/08 21:47 Viewed 24 times

From Author

ギャグ含めつつ書こうと思ったら、ページ制限で色々と削除……。ストレートなお題は、逆に難しいですね。 お題 七夕

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