お帰りなさいませ! メイド喫茶へようこそ!
お帰りなさいませ、ご主人様。何をお持ちいたしましょうか?
……オムライス。
かしこまりました。少々お待ちください。
お待たせしました。オムライスでございます。
ただいま、サービスで、オムライスにケチャップにて、お好きな言葉をお書きするご奉仕をさせて頂いております。
じゃあ……。
”ゆううつ”でお願いします。
は?
「涼宮ハルヒのゆううつ」の”ゆううつ”だよ。 書けないの?
は、はい、書かせて頂きます……。
で、出来ました……。
なにこれ? ”■ ■”にしか見えないよ。
申し訳ございません。
だめだなあ。駄メイドだね、キミは。
すみません……。
あの、最初の一口だけ、食べさせて差し上げるご奉仕もさせて頂いております。いかがでしょうか?
じゃあ、お願いするよ。
では、あーん。
あーん。もぐもぐ。
あのさ、ぼくを赤ちゃん扱いして楽しい?
……。
もういいよ。自分で食べるから。
はい、ご主人様……。
……(もういいかげんにしてよ! なんなのこの客! 食ったらはやく帰ってよ!)
あ、携帯が鳴ってる。もしもし。
あ、は、はいっ! 只今メイド喫茶にいます、はい。いますぐそちらへ向かいます、はい。
いえ、来ていただかなくても、あ、はい、そうですか。 では、このままこちらで待機しております、お嬢様……。
しばらくして。
いらっしゃいませ! メイド喫茶にようこそ!
わぁー! ほんとにメイドさんがいるよぉー!
いらっしゃいませご主人様、じゃなかった、(この場合は女性のお客様だから……)
お嬢様!!
(え?)
あんた、執事のクセしてメイド喫茶通い? いい趣味してるわね?
も、申し訳ありませんっ、お嬢様!
(ええっ! この人、リアル執事!?)
まさか、メイドさんいびって楽しんでたんじゃないわよね?
い、いえ、そのようなことは……。
それより、ねーねー、メイドさん! オムライス食べたいよお!
お嬢様のご要望だぞ! 早くお持ちしろ! メイド!
お前、執事のくせに偉そうにしてんじゃないわよ!!
申し訳ありません、お嬢様。 あ、オムライスが来たようです。
わあー! ねえ、メイドさん、ケチャップで何か書いてくれるんでしょ!
は、はあ。
じゃあね! ”あずにゃんラブ”って書いて!! わたしねっ! あずにゃん大好きなの!
承知しました、お嬢様。
メイド! 貴様、この私を差し置いて軽々しく口を聞くんじゃないぞ!
こら! 執事のくせにメイドさんになんてこと言うのよ!!
生意気なことばかり言ってと、”男穴の刑”にするわよ!!
ひぃぃ!! それだけはお許しを!!
できました。
わあー! すごーい! ねえ、一口だけ食べさせてくれるんでしょ? やって、やって!
では、あーん。
あーん。もぐもぐ。
わあー! おいしー!
お嬢様、このような低レベルの店ではなく、もっと格式あるレストランで食事をしたほうが・・・・・・。
あんた、ほんっとうっさいわねえ!! 早く買い出しに行ってきなさいよ!!
し、失礼しました!
お店間違えるんじゃないわよ! とらで新刊の同人誌買って、メイトで予約したソフト受け取ってくるのよ!!
特典もらうの忘れたら、タダじゃおかないわよ?
しょ、承知しました、お嬢様。行って参ります。
(うわあ、本職の人って、タイヘンなんだなあ……)