“4 girls 1 table(後編)”

前回のあらすじ

私は、とある街の一角にある喫茶店のいちウェイター。

私が注文をオーバーブッキングしたために、同じテーブルに座る4人の女性同士が揉め合っているのです。

この特製わがままランチは私のものよ!

あぁ!?あたしのもんだよ!!

いいえ!私のものです!

(帰りたい・・・)

特製ランチは人気があり過ぎて、彼女達のテーブルにお出ししたもので最後の1つとなってしまいました。

はたして、ランチはいったい誰のものに?熾烈なる女の争いの果ては如何に?

後半開始

争ってもラチがあかない。こうなったら誠意で勝負を付けようじゃないか。

せ、誠意?

そうだ。私達が料理を選ぶのではなく、料理が私達を選ぶ、ということだ。

よ、よく、わからないです・・・。

要は、このランチに私達はいくら叩けるかってことだ。

なるほど。誠意はお金で示せ、ってことね。

そうゆうことだ。

ふざけないでよ!私みたいなヘボ学生の身分で、ランチごときに大金出せるわけないでしょ!

なんだ、じゃ、あなたは不戦敗ってことでいいんだな?

ぐっ・・・悔しい・・・っ、今ここで引き下がったら、私はきっと大切な何かを失うような気がする・・・。

わ、わかったわ。とことん付き合おうじゃない!

そうこなくちゃ!

じゃぁ私は、とりあえずこのランチに1400円出そうかしら。

だったら私は1500円よ!

1800円。

ぐっ・・・、せ、せんはっぴゃくきゅうじゅうえん(1890円)!

2400円。

ず、ずるい!不公平だわ!子供相手に、大人げないと思わないの!?おばさんたち!

お、おばっ・・・!?まぁいいわ、これ以上誠意を出せない貧乏クソジャリはさっさとこの場から去になさい。

なんてことだ!定価980円のランチが、私達のテーブルで倍以上の値段にまで跳ね上がっているよぅ!

たかがランチがここまで人を変えるなんて・・・恐るべし!あの清楚で可憐な先輩はいずこへ・・・?

いや、感心してる場合じゃない!私がなんとかして、上手く場を丸めないと・・・。

3300円。

ぬ、ぬぅぅ・・・こ、これ以上は・・・!

ぶくぶくぶく・・・(泡を吹いている音)

ということは、今回の勝負は私の勝ちってことでいいかしら・・・?

皆さん!聞いて下さい!私に言い考えがあります!

な、なによぅ。今やっと私の勝利が成立したと思ったのに~。

誰にとっても平等で、誰も文句も言わない、なおかつ値段は据え置き、究極の勝負の決め方を思いつきました!

そ、そんな都合の良い勝負方法なんて、この世にあるわけないじゃない・・・!

なんだ小娘。さっきから黙りを決め込んでると思ったら、そんなことを考えていたのか。早く聞かせてくれ。

ほ、ホントに、ヘボンビーの私にも勝ち目があるっていうの・・・!?

もちろん。

ルールは簡単。このランチを食べたいと思った人だけ、割り箸を割るの。

・・・・・・は?

そんなの、誰だって食べたいに決まってるじゃない!ふざけないで!

なにをほざくかと思えば、所詮子供の考えることね。こんな戯言に耳を傾けるなんて、時間の無駄よ。

いや・・・、私は貴重な時間を犠牲にしても、この小娘が提案しようとするものに価値があると思う。

そうかしら。こんなアホそうな子にそんな素晴らしい提案ができるなんて・・・。

まぁ、みんな最後まで聞いてよ。(アホは余計だなぁ)

割り箸を割って、食べることの意志を表すだけでは、このランチを食べられるとは限らないの。

ど、どうゆうこと・・・?

割り箸を割るっていうことは、すなわち、このランチの独占権を表明するってことなの。

独り占めできるってこと?でも、皆割っちゃったら、元も子もないじゃない。

違うの。もし、割り箸を割った人が2人以上いたら、その人たちはランチを食べる権利を放棄するの。

な、なんですって!?

そして、割らなかった残りの人が、そのランチを山分けするの。

逆に、割り箸を割った人が1人だけの場合は、残りの人たちがこのランチを諦める。

これは・・・、まさに心理戦・・・!!

己の欲だけに駆られれば、己の首を絞めることになる・・・なんて恐ろしいゲーム・・・ッ!この娘・・・できるッ!!

・・・面白いじゃない。お姉さん、こうゆう遊びってキライじゃないのよね。

光明が見えてきたわ。おばさん、涼しい顔できるのも、今のうちだかんね!

・・・お姉さん、こうゆう遊びってキライじゃないのよね。

それじゃ、みんな割り箸を持って。

私がせーのっ、って言ったら、割り箸を割りたい人は割ってね。

ちょ、ちょっと待って。もう、ちょっと時間をくれないかしら?

おいおい、今更怖気づいたんじゃないだろうな?

この割り箸に、安易に自分の運命を託したくないだけよ!

だっさー。さっさと決めなさいよー。

う、うるさいわね!クソジャリ!

(とはいえ、このゲーム、よくできてるわ・・・)

この2人は、必ずランチを独占したいに決まってる。

でも、その裏を掻いて、私に割り箸を割らせようと画している可能性も捨てられない・・・!

かと言って割らなければ、ランチが食べられる保証だってない訳だし・・・。

あ、あっ、ああああああああああっ!!!

なによこのおばさん!突然吠えだしたわ!?

ふん、考えったって無駄なことだ。私の答えはもう決まっている。

な、なんですって!?

あの子がどうゆう考えで、このゲームを提案したと思ってる?

え?

彼女の巧妙な提案の裏には、「誰もが悲しまないでランチを食べられる」という単純で力強い願いが込められている。

そんな彼女の気持ちに気付かないなんて、大人としても、先輩としても、女としても、最低の下衆野郎だぜ!

私は・・・、自分の欲に溺れてしまっていたのね・・・。

そ、そうよ。こんな醜い争いの果てで食べるランチなんて、美味しいと思えないもの。

だ、だから、たとえいけすかないアンタたちだろうとも、私は・・・、皆で一緒に食べたいの。

・・・あなた、名前は?

い、いちじく・・・。

実は、私も、そこの大学に進学しようと思ってるのよね。

だったら、私がいろいろアドバイスしてあげるわ。

ほ、ホントに?

先輩に二言はないわ。私はさつき。宜しくね、いちじくちゃん。

・・・さっきは、大人げない真似して悪かった。

黙ってたけど、あたしもあの大学出身なんだ。中退だけど。

でも、その分社会に出ていろんなことを学んだんだ。そのノウハウやらは教えてやらんことはないぞ。

あたしは、萌地(めいじ)。 ・・・よろしくな、いちじく。

・・・・・・。

・・・はいっ、さつきお姉さま!めいじお姉さま!こちらこそ、宜しくです!

さっ、随分時間が経って、冷めちまったけど、みんなでランチを食べようじゃないか。

最初見た時、けっこう量が多いと思ってたの。4人で分けるなら、ちょうど良いわね。

・・・じゃ、いただきまーす!

パキィッ!!

!?

・・・・・・?

あ、すみません。勢い余って、割ってしまいました。

でも、ルール上、割り箸を割った人が1人だけの場合、ランチは総取りってことなので。

いただきまーす。

ズルズル・・・パクパク・・・ごっくん。

あー、おいしかった。

店員さん。お会計お願いしまーす。

・・・・・・、980円です。

釣りはいらねーぜ。

ご、5000円ッ!?

温いですよね~。世の中そんな甘くないですよ。

カランコロン

うわ・・・今出てった子って、あれでしょ?「ランチ荒らしのムツキ」だよね?

彼女が食事をした店の空気は一気に殺伐になるっていう、飲食店泣かせの小悪魔でそこの大学で有名なのよ。

ホント最悪・・・この店やめて別の店いこ。

カランコロン

ありがとうございましたー。

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Posted at 2014/02/08 19:58 Viewed 8 times

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ランチをめぐる女性たちの修羅場の結末をご覧ください。

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