いつもの、日課。
こうしてベランダから 意味もなく町内や空を見渡すこと。
その通り意味はない。 だが、だからこそ 必要なのかもしれない。
どうでもいいことを見続ける事で、 見ていて疲れてしまうものを 見なくて済むから。
目を、逸らせるから。
……そろそろ登校しようか
ベランダから出れば、 いつもの様に妹の照が待っている。
……日課は終わった？
うん、もう大丈夫。 もう学校に行くよ。
じゃ、行ってくる
いってらっしゃーい！
家から出て、すぐに学校が見える。 家と学校が近いというのは、 良いのか悪いのか。微妙だ。
数人の生徒達と共に校門をくぐる。 生徒達は他愛のない話や下品な話、 それに、恋愛の話とか。
本当に良く喋る。 僕なんか、 そんな饒舌に喋ったら舌がもげるよ
………恋か……恋ね…
かれこれ十何年生きてるけど、 僕は恋愛経験が少ない。
いや、ごめん。見栄を張った。 本当は一回もない。一回も。
まぁ、わかると思うこの流れ。 下駄箱を超えると 変態が待ち構えている。
みなさまには見えていませんが、 彼女、白刃 直は 校舎の柱に隠れてニコニコしている
……直、なんというか、それは やめといたほうがいいと思う。
なんで！？
え、いやだって 完全に不審者だったもん
この世にはどんな試練を 乗り越えても、 示さねばならぬ事がある！
それが、愛！ ラブぅ！！
……さぁ〜て、 みんなの教室にダッシュだ！
あっ！待って！理子ぉ！！
お互い、全力のダッシュ。 でも、直は弾道ミサイル級。
オラオラ オラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラ！！！！
な…なんてダッシュだ…！！ その内、光を超えそうだ…
命名、オラオララッシュ。 なんか奇妙な冒険に出てきそうだ。
はぁ…はぁ…
なんとか、教室には着いた。 直はその0．2秒後。
直、お前は ウサギ・ボルトを超えられるよ…！
ふっ、 私のオラオララッシュに 敵う奴はいない…！（キリッ
先に命名されてたーー！！！
そして自分でいうと結構イタイね。
……なぁ、直
朝から、ずっと気になってた事。
恋って何ぞや？
…なんか時代錯誤な 聞き方になってしまった。
恋？ ………
かなり悩んでいるらしい。 おかしいな、 コイツ、大分モテるらしいのに。
あっ！ もしかして…… 私に恋しちゃったとk
お前に相談した、 僕の頭が悪かった！
駄目だ……。 すごくモヤモヤするぞ…。
……誰か教えてくれないものかな。
………
思ってみれば、 僕には疑問ばかりがある。
自分じゃわからない。 他人に聞かなきゃいけない。
まったく、単純なくせに この僕を困らせてくれる……
……放課後、 みんなに聞いてみるかな…
………… ………………… …………………………
そっか。 他人を頼るってことを、 僕はまだしてなかったんだな。
いや、なんかお姉ちゃんが 急に乙女になりだしたよ。 びっくりですよ。
「恋って何だ……」
とか。 ………お姉ちゃんも、 歩き始めたって事かな？
ではでは、 次回もお楽しみにー！
