“ちゅうにがくせいにっき2”

ダメね・・・。 この三十連結合摩訶式結界、私には破れそうにないわ。

霧雨さんでも破れないんじゃ・・・オレらの誰にも無理だろうな。

カラオケボックスに満ちた歌声を妖獣たちが呪力に変換して、結界を強化してるんだっけ?

こりゃあ、妖獣どもにまんまとしてやられたって感じだな。

みんなでカラオケに来たら、とんだ災難だねえ。 誰もここから出られませーん。

なんで、おまえらそんなに楽しそうにしてるんだよ・・・。

ほっとけば助けがくるんじゃないの?

もしかしたら、他の部屋にいる一般人は、何人か妖獣どもに食べられちゃうかもしれないけどね~。

それは、ちょっとマズいんじゃないかなあ・・・。

静姫さんは真面目だなあ。 一般人の十人か二十人ぐらいの犠牲は、このさい仕方ないよ~。

力の無い人が妖気にあてられちゃうとかって、よくあることだもんね。

サラッと・・・とんでもねえこと言ってるんじゃねーよ、おまえらぁ!

とにかくここを脱出して、やつらをなんとかしないと・・・。

私の烈風激壁氷華衝で換気ダクトから凍気を流して、何もかも凍りつかせるのはどうかな?

その何もかも、ってフレーズがあきらかにマズいだろ。そこで目ェそらすなよ。おい、如月。

・・・詔、オンマジュ・・・怨怒噴怒、合切衆生・・・シチリキ、サンポウリキ・・・。

闇牙くんの真空月狐狼牙閃って、空間とか斬れなかったっけ?

できるけど・・・あれ、美しく気高い乙女の生き血を吸わないと使えないんだよね。

やっべ。私じゃん。

こういう状況では仕方ないわね。

おまえら二人、あきらかに気高くも美しくもねえよ! それにその服装はなんだ? 中学生のカラオケにコスプレとか、やりすぎだろ!

あと、そこの静姫! オレらが相談してる間に、コッソリと覚醒状態で扉殴ろうとすんな! 耳出すな、耳!

我門、口悪すぎ~。

我門くんって、いっつも静ちゃんのことイジメるよね~。

もしかして、狙ってるとか?

いや、オレは別に・・・そんなつもりじゃ・・・。

私は我門くんが言うなら、なんでもそのとおりにしちゃうけどな~。 ほら、覚醒解除したよ~。

うわぁ。我門にめっちゃジェラシー感じるわぁ。

あれ・・・霧雨さん。 なんか機嫌悪くなってる?

わ、私は・・・。

あの・・・霧雨さん。えっと、その・・・もしかして、怒って・・・いらっしゃいま・・・す?

・・・ません。

我門のやつ、モテモテでうらやましいなあ。

だったら・・・おまえがオレのかわりに、なんとかしやがれよ!

えぇー・・・マジかよ。カンベンしてくれよぉ~。

頼むよ、電精使い。 おまえの天華千雷無塵掌なら、建物内の配線を通して攻撃できるだろ。

だから~・・・街中でうちの技をみだりに使うなって、実家から止められてるんだよ。

オレが技を使うと電器設備がブッ壊れまくって・・・修理の請求書が実家にくるからさ。入学式の件で、マジ勘当の一歩手前なんだぜ・・・。

そりゃあ・・・なんか、悪かったな・・・スマン。

我門、おまえいい加減にしろよな。 文句あるなら、自分でなんとかするべきじゃねえの?

またオレがやるのかよ・・・。

こうなったら、私の神魔殲界鬼爆殺でこの建物ごと・・・。

やめてください。 お願いします、龍我さん。

ここを・・・こうして・・・。

二人・・・私と、もう一人ぐらいなら・・・どうにか結界を通り抜けて、お店の外に出られるかも・・・。

しょうがねーな。ここは見せ場を我門に譲ってやるぜ! ヒューヒュー!

せっかく・・・我門くんと二人きりになれたのに・・・。

こんな時間に中学生が繁華街をうろつくとはな・・・。先生に抜刀させるつもりか・・・我門凶獣郎?

カラオケボックスに閉じ込めた人間どもを・・・我ら妖獣の餌にしてくれるウサ~!

やかましいっ!! 我の瞳に宿る魔力を浴びて滅びよ! ────滅皇波魔眼っ!

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Posted at 2012/09/22 23:14 Viewed 21 times

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どこにでもいる、ごく普通の中学生の話。カラオケ編。前→http://www.kimip.net/play/hpbPa

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