出会いは小学校の時だった。
私は5年生の春に転校してきた。
クラスメイトは珍しいものを見るような目で近づいてくる。
･･･正直、居心地は最悪だった。
私は人見知りで人と話すのがすごく苦手だった。
何かを聞かれても何を答えればいいかわからない。頭が真っ白になる。
しどろもどろしている間に相手に愛想を尽かされる。そんなことが積み重なって、結局私はひとりぼっち。
転校する時だって誰一人として見送ってはくれなかった。
まあ、その辺は割りとどうでもいいので省略。
ある日の昼休み。人の少ない場所を探していると、理科室から爆発音が聞こえた。
何事かと恐る恐る理科室を覗き見た。
そこには2人の女の子がいた。
その2人が囲んでいた机から煙が出ていたから、私は思わず「火事！？」と声に出してしまった。
しまった！と慌てて自分の口を塞ぐ。当然、見つかった。
「大丈夫、ちょっと焦げただけだから。それより･･･」長い髪の子が私の肩を掴んだ。
「見てしまったね。秘密を知られたからには生きて帰すことは―――」
言い切る前に ゴンッ と鈍い音が響いた。もう1人のツインテールの子が長い髪の子の頭をグーで殴っていた。
「バカなこと言ってる暇があったら片付けなさい。バレたら私まで怒られるんだから」
はーい、と曖昧に返事をして長い髪の子は机の上を片付け始めた。
私がぽかんとしていると、「ほんとに何ともないから。驚かせて悪かったわね」とツインテールの子が私の頭を撫でてくれた。
聞いた話によるとツインテールの子は長い髪の子の実験に付き合っていたらしい。
それと、無断でやってるから誰にも言わないでほしいとお願いされた。
･･･まあ、それからなんだかんだでその2人との付き合いが続いていた。
友達なんて、一生できないと思っていたのに。気がつくと隣にいて、一緒に遊んでいた。
･･･？
どうかした？
この気は･･･
気･･･？
ｻﾞｯ
･･･
！
お久しぶりね。元気にしてたかしら？
ちょっ何あんた何平然と･･･
やっぱり、ホンモノ･･･だよね？
亡霊にでも見えるの？ちゃんと足あるわよ。
･･･うん。そうだね。
えっと･･････
･･････おかえり
･･･ただいま
私を空気にしないで！
いや空気読みなさいよ。
つーか何感動の再会みたいなことやってるわけ？こちとら気まずいったらないわ
知らないわよ。私たち被害者だし
ねー
えっ･･･？なんだっけ？
家爆破されたことよ
それは悪かったと思ってるわよ。でも私は謝らない
反省のために家出したのに開き直ってどうすんのよ
･･･まあ、その･･･
家壊してごめんなさい。あとあなたを置いて蒸発したことも
･･･
ううん。
もういいの。･･･ただね、ちょっと寂しかっただけだから
･･･うん、もう大丈夫･･･
･･･
本当にごめん。随分長いことひとりきりにさせてしまって。
心置きなく殴ってもいいのよ？
できればデコピンくらいでお願いします！
ふふっ、だからもういいって。またこうして会えたんだから
っしゃ、デコピン免除！
それにしてもなんだか雰囲気大人っぽくなったね。逞しくなったというか
そう？まあ、いろいろと大変だったからなぁ
うん、頑張ったわね。よしよし
あぅー
昔もよくこうしてあげたわよね。あなたよく泣いてたから
ぅー。もう昔みたいに泣き虫じゃないよぅ
そうね。もう私がいなくても大丈夫かな？
そ、それはっ･･･！
冗談よ。もう勝手にいなくなったりしないわ。約束する
･･･うんっ
おーし！仲直り記念に焼肉しよう！
いいわね。最近まともなもの食べれてなかったし
蛙の肉ってけっこう美味しいんだよ
それは勘弁
じゃあ私の家に行きましょ！私の作った超焼肉セットで―――
･･･あんたの発明品はもう、いい感じにトラウマなんだけど
おわる。
