“自称勇者の冒険~11話目~”

~前回までのあらすじ~

俺の名前は勇者! 不思議なんじゃねダンジョンで 拾った腕輪を装備した俺は 腕輪の効果で呪いを受けてしまう。

俺達は呪いを解く為に カキン神殿へと向かう事になった。

果たして俺の呪いを 解く事は出来るのか!!

………

……

~カキンの町~

NPC 「富と名声の町、  カキンへようこそ!!」

勇者 「ここがカキンの町かっ!  おら、ワクワクすっぞ!」

魔法使い 「……さっさと行くわよ。  呪いを解くんでしょ?」

勇者 「ああ、そうだった!」

勇者 「あの人にカキン神殿の場所を  教えてもらおう!」

勇者 「すみませーん」

NPC 「はい、何でしょうか?」

勇者 「カキン神殿に行きたいんですが  道を教えてもらえませんか?」

NPC 「カキン神殿なら  この道を真っ直ぐ行ったら  ありますよ!」

勇者 「そうですか。  ありがとうございます!」

NPC 「いえいえ。  良いカキンライフを~」

勇者 「よし!道も聞いたし  早速カキン神殿に……」

勇者 「行く前に  薬草を買っておこうか!!」

魔法使い 「……何で薬草?  今買う必要があるの?」

勇者 「いや…だって…  俺の薬草はダンジョンでパンに  なったし…」

薬草 「ここで買っておかなくて  いつ買うというんだ!?」

魔法使い 「はいはい……。  それじゃあ行きましょうよ」

(移動中………)

勇者 「おお!ここが道具屋か!  すみませーん!」

NPC 「ここは道具屋です。  本日は何を買われますか?」

勇者 「薬草を5個下さい!!」

NPC 「では薬草5個ですので……」

NPC 「50カキンコイン頂きますね」

勇者 「……50カキンコイン?」

NPC 「はい」

勇者 「……カキンコインって  何ですか?」

NPC 「カキンコインというのは…  この町でしか使えないコインで、  100カキンコイン100円から」

NPC 「お買い求め頂けるコインです。  100円=100カキンコインと  いったところでしょうか」

勇者 「ん……?  つまりそれはもしかして…」

勇者 「課金制ですか?」

NPC 「はい、そういう事ですね!」

NPC 「この町ではHPは  自動的に3分間に1回復  しますけど……」

NPC 「すぐに少しでも回復させたいなら  カキンコインを使って課金をして  回復するという事です」

勇者 「つまり……  この町では回復は課金制って  事ですか?」

NPC 「そういう事ですね!」

勇者 「…………」

勇者 「一応聞いておきますけど……  宿屋とか武器防具屋も教会も  全部課金制ですか?」

NPC 「ええ、そうですね。  宿屋も武器防具屋も教会も  全てカキンコインが必要ですよ」

勇者 「………」

勇者 「やっぱり…薬草はいいです。  失礼します」

NPC 「またどうぞ~」

勇者 「あらゆるものが課金制だと…?  何だこの町は……」

勇者 「とりあえず魔法使いのところへ  戻ろう……」

(移動中……)

勇者 「はぁ……」

魔法使い 「どうしたの?勇者。  薬草は買わなかったの?」

勇者 「いや……ちょっとね……」

魔法使い 「まあいいわ。  賢者が先にカキン神殿へ  行ってるから向かいましょう」

(移動中……)

魔法使い 「というわけで、  カキン神殿についたわ」

勇者 「ここで呪いを解くわけだな!  早速…呪いを解きにいこう!」

魔法使い (おかしいわね……。  賢者の姿が無いわ……。  先に来てるはずなのに……)

勇者 「すみませーん!  呪いを解きに来たんですが!」

神官 「はいはい、呪いですね」

勇者 「あれ?  あなたどこかで……」

神官 「気のせいじゃないでしょうかね。  まあ世の中には自分と似たような  人間が色々おりますから」

勇者 「……そうですか?  じゃあ呪いを解いて下さい」

神官 「では10万カキンコイン頂きます」

勇者 「え、今何て言いましたか?」

神官 「10万カキンコイン頂きます」

勇者 「いやいや…高すぎるだろ…。  もっと安くなりませんかね?」

神官 「10万カキンコイン払えないなら  呪いを解くわけにはいきません。  こっちも商売ですのでね」

勇者 「えっ…いや、でも…  ここに来れば呪いを解いて貰える  って聞いたのに……」

神官 「解いても良いんですよ?  10万カキンコイン払えば」

勇者 「そんな……!!  他の町では呪いは200円で  解いてもらえるのに!」

神官 「そうだね。他の町ではね。  でもこの町はカキン。  呪いを解きたければ払ってね」

神官 「それが嫌だったら、解呪アイテム が入ってるガチャを回しますか?  1回300カキンコインですが」

神官 「まあ必ずしも解呪アイテムが  出るとは限りませんけれどね」

神官 「はははははは」

勇者 「くっ……!」

神官 「どうですか~?  今なら強い武器が当たる  武器ガチャもありますけど~?」

神官 「呪いを解きたいんでしょう?  だったら払わないと!  それともガチャを引きますか?」

勇者 「そんな……そんなのは……!!」

勇者 「冒険じゃない!!」

神官 「……はあ?」

勇者 「なんかそういうのは……  よく分からんが何か違う気が  するんだ!!」

勇者 「何でもかんでも課金制にすれば  良いと思うなよ!!」

神官 「……………」

勇者 「例えば本来入れてあるべき物を  DLCとして別に売るとか!」

勇者 「オフラインでは遊べないRPGや  そういう環境が無い勇者は  世界を救えないとか!!」

勇者 「強いアイテムを手に入れるには  オンライン接続してポイントを  集めないといけないとか!!」

勇者 「課金にすべきじゃない所を  課金にする時点ですでに冒険の  面白さは失われてるんだ!!」

勇者 「だからこの町の冒険は……  冒険じゃない!!  俺はこの町の冒険を認めない!」

神官 「……黙っていれば  言いたい放題言いおって……」

神官 「時代が進めば世界も変化する…。  この世界の変化に合わせて  システムを変えるのは当然…」

神官 「それにこの町で課金をする者達は  それぞれが楽しんでおるのだ…」

神官 「貴様はその者達の楽しみを  否定するのか?」

神官 「その者達の存在を  貴様は否定出来るのか?」

神官 「出来るわけがなかろう!!  この町のシステムに抗う事など  出来るはずがないのだ!!」

神官 「一度この町で課金を始めれば…  その者は一生課金し続ける!  この世界が終わるまでな!!」

神官 「その者達のおかげで  この町は存在を維持出来るのだ!  だから課金はあって当然だ!!」

神官 「言いたい事があるなら  言ってみるがいい!!」

勇者 「俺は…  彼らを否定するつもりは無い」

勇者 「冒険の仕方は人それぞれだ…」

勇者 「だが俺は……  最後にちゃんと終わりがある  冒険がしたいんだ!!」

勇者 「継ぎ足しでいつまで経っても  エンディングが見えない冒険は  達成感がまるで無い……!」

勇者 「俺は不完全な冒険よりも  何もかもが全て入っている  完全な冒険がしたいんだ!!」

神官 「ならばこの町から立ち去れ…!  貴様のような奴は……  この町に必要ではない!!」

勇者 「それは出来ない。  この呪いを解くまではな!!」

神官 「おのれ…課金もせずに  呪いを解こうとは…良い度胸だ!  ならばこの場で息絶えろ!!」

神官 「この町で息絶えれば……  生き返らせるにも課金が必要…  払わなければ復活など出来ぬ!」

神官 「さあ息絶えるが良い!!  貴様は二度と復活出来ぬ!!」

神官は呪文を唱えようとした。

しかし何故か呪文はかき消された。

神官 「な……何だと!?  何故呪文が唱えられぬ!?」

??? 「良かった~、間に合いました!」

勇者 「この声は……」

神官 「な、何者だ!!」

賢者 「私だ……私です~」

勇者 「賢者さん!!」

賢者 「この一帯に全ての魔法を無効化  させるバリアを張らせて  もらいました~」

賢者 「…といっても、  この杖のおかげですが~」

神官 「そ、それは結界の杖!!  高額課金アイテムであるそれを  何故貴様が持っているのだ!?」

賢者 「さっきカキン神殿の中を探索中に  タンスの中を調べたら  見つけたんです~」

神官 「き、貴様私の部屋のタンスを  勝手に開けよったな!!  許さぬぞ!!」

賢者 「あと…これも見つけたんですが  ここで読んでもいいですか~?」

賢者は一冊の本を取り出した。

神官 「げっ……そ、それは……!!」

賢者 「裏帳簿って書いてあります~。  中身を見てみると凄い事が  書いてありました~」

勇者 「何それ気になるんだけど…  ちょっと見せてください。  賢者さん…!」

賢者 「あ、はい~。  これです~」

勇者 「えーっと……何々……?」

神官 「おい……やめろ……!!  それを読むんじゃない!!」

勇者 「あれ…何これ……  魔王城に毎月資金提供……?  魔王城からは魔物を貰ってる…」

勇者 「これはどういう事だ!!  裏で魔王と取引しているのか?」

神官 「ちっ…バレては仕方ない…。  こうなったら考えがあるぞ…」

神官 「私は逃げる!!」

勇者 「あ、待て!!  俺の呪いを解け!!」

勇者 「くそっ……逃がしたか!  俺の呪いを解く……  チャンスだったのに!!」

魔法使い 「それなら大丈夫よ」

勇者 「あれ、魔法使い……。  今までどこに行ってたんだ?」

魔法使い 「はい、これ。  これを使えば呪いは解けるわ」

勇者 「いやこれって……  ただの巻物だよね……。  この呪いは10万払わないと…」

魔法使い 「いいからそれを読みなさいよ」

勇者 「……はいはい」

勇者はシャなんかの巻物を読んだ!

なんと!! 勇者が装備していた経験値10固定の 腕輪は粉々に飛び散った!!

経験値10固定の腕輪は壊れた。

勇者 「え……えっ……!?  腕輪が…壊れた……!?  でも何で……?」

魔法使い 「どうやらあの神官は嘘をついて  いたみたいよ」

魔法使い 「この巻物で簡単に解ける呪いを  10万カキンコイン払わないと  解けないように思い込ませて…」

魔法使い 「色んな冒険者達から多額のお金を  取っていたようね……」

勇者 「そして魔王城に資金を提供して  魔物をダンジョンに集めて  いたのか……」

勇者 「やっぱり魔王を倒さないと  いけないというわけか……」

勇者 「よし、俺は本来の目的通り…  魔王を倒しに行くぞ!!」

魔法使い 「ああ…そういえばアンタ…  勇者だったのよね?  すっかり忘れてたわ」

魔法使い 「まあ何にしろまずは  レベルを上げないとね」

勇者 「ああ…そうだな!  じゃあもうこんな場所に  用は無いな!!」

勇者 「元の大陸へ戻ろう!!」

………

……

神官 「はぁ…はぁ…はぁ…。  ここまでくれば大丈夫だろう…」

神官 「あやつら今に見ておれよ…。  いつか必ず復讐してやる…!」

??? 「その必要は無いわ」

神官 「だ、誰だ貴様は!  私をカキン神殿の神官だと  知っているのか!?」

??? 「ええ…知っているわ。  あなたはもう用済みなのよ」

神官 「な、何っ……!?  貴様…まさか……」

??? 「……さようなら」

???は目にも止まらぬ斬撃を 神官に向けて放った!!

神官 「ぎょえーーーーっ!!」

??? 「任務完了……よ」

………

つづく……。

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Posted at 2012/08/06 04:14 Viewed 21 times

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※ネタが危ないですが、フィクションです。

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