ひな――――!
なーにー?お母さん。 (声でかいよ……。)
ちょっと、お使いに行って来てくれない?そこのイズミヤでいいから。
え――――! 面倒臭ーい。
…………は? (ドドドドドドド……)
わ、わかったよ。 行ってくるよ。何を買ってくればいいの?
今、メモに書くから。出掛ける準備、しておきなさい。
はい、これ。メモとお金。無くさないように気を付けてね。
あれ?お母さん、メモに書いているのと比べて……。気の所為か、何かお金多くない?
ひょっとして、残りはお小遣い? (やった――――!)
そんな事、ある訳ないでしょう。
お買い物に行くついでに、イズミヤの4階の書店で何でもいいから小学生向けの参考書を買っておきなさい。
む――――――。 何でそんな物を買って来なきゃいけない訳?
何でって……。あなた受験生でしょう?ノートルに行きたいんでしょ? じゃあ、勉強!勉強!
さあ、そんな顔しないでさっさと行きなさい!
は――――い…………。
お母さん。雛子、自転車で行くから。
わかった。行ってらっしゃい。 車に気をつけるのよ。
あーあ、お使いなんて面倒臭いなあ……。
あら、藤井さんところの雛子ちゃんじゃない。
あ、こんにちは!
こんにちは。 お使い?
はい!母に頼まれて……。
そうなの。偉いわねえ……!
(雛子、もう小学3年生なんだけれどなあ……。)
受け答えだってしっかりしているし。 ホント、ウチの男子達に雛子ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいわ。
は……はあ……。
あら、ごめんね。おばさん、引き留めちゃって。お使いの途中だって言ってたわよね?
いえ、気にしないで下さい。
それじゃあね。
あ、そうだ!
…………?
最近、雛子ちゃん位の子供を狙う変質者が出没しているらしいから、気を付けてね。
はい、気を付けます。それでは……。 (あー、学校でそんな注意された事があったなあ……。)
さて、出発!
(あれ、何か自転車の様子が変……。)
(何だろう……。パンクかなあ?)
……………………。
ドン!