“『第一次上田合戦:第一幕』”

ドドン・ドン・ドドン! ドドン・ドン・ドドン!

ネットに歴史の話は数あれど「キミP!」にはまだ影も無し。 これはいける? これいっちゃう?

そんなノリで始めてみました。 第一次上田合戦。 なんともコアなお話ですが、

ご存知の方はお手柔らかに、知らない方は面白半分に、どうか見てってやってちょーだい。

つーか数々の偉大な先駆者がネットのあちこちにいるのに無茶したもんだ。

前置きはほどほどにして・・・。

さて、第一次上田合戦とはなんぞや?

時は天正13年(1585)であります。 長野県の東部で勃発した、徳川家康と真田昌幸の戦争です。

本能寺の変は天正10年(1582)。小牧・長久手の戦いは天正12年(1584)だから・・・

あらー、こりゃあ豊臣秀吉さんが天下統一しちゃうね。徳川さんもこれから大変ねー。

そんな雰囲気だと思っておくれ!

さて・・・。

徳川家康。当時は五カ国を治める大大名となっており、その力は強大。戦国時代のナンバー2!

一方、表裏比興(ひょうりひきょう)の者と呼ばれる謀略の将、真田昌幸(さなだ・まさゆき)。

織田信長の甲斐(山梨県)侵攻により主家である武田家が滅亡した後は、

転々と主を代え、一国にも満たない領地を守ることしかできていない。

大大名と小大名のこの戦い。はてさてどちらが勝つのでしょうか。

では、まずは第一幕をお楽しみください。

第一幕:徳川軍侵攻

・・・・・信濃国佐久北部・・・・・

ザッザッザッザッ・・・

【徳川軍兵士】 三河(愛知県東部)武士。直情径行。味噌フォーリンラブ。

総勢七千の大軍勢である。 さて、それを率いるのは・・・

ザッザッザッザッ・・・

ザッザッザッザッ・・・

ふぅ・・・。

ったく、なんなんのよこれ・・・。

家康様には「ハァイ!」とか小気味いい返事しちゃったけど、小県(長野県東部)ってほんと田舎ね。

軍を進めるにも一苦労だわ。あぁ、もうほんと山ばっかりで嫌になっちゃう。

ただでさえ甲斐(山梨県)の統治ですごく忙しいのに。仕事増やしてくれちゃってまあ。

田舎大名がふざけやがって。大人しく尻尾振りやがれ。

【鳥居元忠(とりい・もとただ)】 家康が今川家の人質だった時からの側近中の側近。家康様至上主義。

第一次上田合戦における大将を務める。山梨県の東部(都留郡)を領地に持つ。

まあまあ。鳥居っち落ち着いて。

ボクはむしろ真田アッパレと思わないでもないかな。

三年前の甲斐一乱で大活躍したのに、上野(群馬県)の領地を北条にあげなさいなんてさすがに無茶振りでしょ

【平岩親吉(ひらいわ・ちかよし)】 鳥居と同じく今川時代からの側近中の側近。家康様大好き。超好き。

山梨県の中央(現:甲府市)に領地を持つ。

本音は?

ムキー! 徳川家の金で上田城建てといて裏切ってんじゃねーよ! ふざけんなよ! 三河武士なめんなよ!

小さくても大名だろうが! 強請り屋に改名しろ! 恥知らず! 馬鹿! アホ! マヌケ! アンポンタン!

でしょ? 三河武士ならそうあるべきよ。

・・・でもさー。

二人そろって真田の悪口言うわけにもいかないんだよねー。

真田ってさー、もと武田の連中には超有名でさ。信濃や甲斐でのネームバリュー無視できないんだよね。

三河武士団が精強って言っても信濃の地理には明るくないし、領地にはもと武田の武士も多いしさ。

今回の上田攻めに関しても、信濃や甲斐の武士に頼らないと成り立たないんだよねぇ。

まあね。じゃあ、今回の役回りはアタシが真田嫌悪派で、アンタが真田擁護派でいきましょうか。

さっすが鳥居っち。分かってるぅ~。

当然ね。

真田を(ピー)っちゃった後、もと武田の連中は擁護派のアンタのところに行くと思うわ。

雇い放題ね。感謝しなさい。

徳川家は甲斐を領地としたものの、民は信玄を懐かしみ徳川家を憎む者も少なくなく、統治に手を焼いていた。

残党による反乱もあるし、ちょっとした誤解で農民の一揆も起こってしまう。

反乱や一揆は武力で鎮圧しても良いのだが、戦でつかわれてた農民が戦死や怪我によって減ってしまう。

農民が減ればとれる米が減る。米が減れば税収が減る。巡り巡って自分たちが困ってしまうのである。

さて、農民達が徳川家に素直に従い、残党に反乱も起こさせず、好感をもたせるためにはどうすれば良いか?

てっとり早くて簡単な方法がある。もと武田家の武士、つまり残党を部下にするのだ。

雇って対等に扱ってやれば、散っている武士たちも集まってくる。集まるほど農民たちの印象も良くなる。

加えて武田家の武士たちは精強で評判であった。一手で何度もおいしい。一石三鳥、四鳥も狙えるのである。

甲斐の領地を与えられた二人にとって、飴と鞭の役割分担をすることは重要なことであった。

すまんですなー。

ところで大久保(おおくぼ)兄弟はどこなのかしらね。そろそろ合流するはずなんだけど。

ちわーっ、伝令でーっす。

【伝令】 戦場において武将の命令を様々な場所に伝える役目を負う兵士である。

あら、やっと来たわね。

北西にある、八重原台地にて陣を敷く予定となってます。合流地点まで案内いたしますのでよろしくお願います

はいはい、了解。

じゃ、先頭に行きますんでこれにて失礼をばー。

あ、ちょっと待って。

なんでっしゃろ?

道に詳しいってことはあんた信濃出身なの? 大久保兄弟直属?

いえー、依田(よだ)様の配下となっておりますー。

おー! 依田さんのトコのかー! 先代の信蕃(のぶしげ)さんには甲斐一乱で世話になったよー。

【依田信蕃(よだ・のぶしげ)】 故人。もと武田の武将で小諸城城主だった。二年前に戦死。

武田滅亡時、家康に徹底抗戦した勇将だが、織田家の武田残党狩りの際助けられ仕えることになった。

甲斐一乱(後に天正壬午の乱と呼称)の折に、当時は徳川方だった真田昌幸とともに大いに戦功を上げた。

そう言っていただけると幸いです。先代も浮かばれます。

今は康国(やすくに)くんだっけ?

大久保様に後見になっていただいております。ありがたいことです。

依田殿は真田と違って忠義の士で、徳川は大変助けられているわ。 これからもよろしくね。

身に過ぎるお言葉です。戦後はどうか殿に直接言っていただけますように。

では、時間がもったいないので失礼いたします。

はい、行ってらっしゃい。

いやー、信蕃さんの長男くんも来るのかー。こりゃ頼もしいなー。

ま、これなら所詮真田なんて田舎大名だし、楽勝でしょ。

謀略に長じているようだけど、依田を含め裏切りを仕掛けられる隙なんて無いしね。

叩き潰して領地もらってさっさと家康様に褒めてもらうわよ!

よっしゃー! 野郎どもぉー! 進軍だー!

うぉおおお! 家康様ばんざーい!

・・・・・・徳川移動中・・・・・・

・・・・・・八重原台地・・・・・・

家康様ばんざーい!

どうしたのだ兄上?

いや、なんか三河武士として言わなくちゃいけない気がした。

【大久保(おおくぼ)兄弟】 左が兄の忠世(ただよ) 右が弟の忠教(ただたか)

兄の忠世は小諸城で信州惣奉行を務め、若い城主である依田康国の後見人となっている。

弟の忠教はその補佐をしている。

もちろん、三河武将の例にもれず二人とも家康様大好きである。

ま、まあ、家康様はいつでも最高だからな。言わなくていい道理がないな。

まったく。忠教はお堅いなあ。

ところで鳥居様と平岩様はまだなのか? 兵達が武功を立てたくてウズウズしているぞ。

慌てない、慌てない。いくら小大名と言ってもここは相手のホームグラウンドだ。

地の利は相手にある。僕たちだけでは戦果は出せないさ。

・・・まあ、どうにか出来ていたら援軍は呼ばないしな・・・。

そうそう。

忠世様、お呼びになりましたか?

【依田康国(よだ・やすくに)】 依田信蕃の長男。将来を宿望される徳川のホープ。ポークでは断じてない

康国くぅーん! 呼んだ! 超呼んだ! めちゃくちゃ呼んだよー!

ギリ・・・

でねー、康国くんに頼んでおいたアレのことなんだけどー。

はい。準備万端です。この地図をご覧下さい。

(このグーグル地図はイメージです。実際はこんなに正確な地図ではありません!)

現在、我々はこの八重原台地にて陣を敷いております。

伝令によると鳥居様と平岩様はこちらにいらっしゃいます。もうすぐ視認できるでしょう。

合流したあとの予定は?

難しいのはそこです。

難しい? どうしてだい?

康国、難しいなら私が立ててやるが?

あー、えーっと・・・。

・・・じゃあ、まずは忠教の手腕を拝見しようかな。

まかせろ、兄上。

まず、合流後すぐにでも信濃川を渡る。

信濃川は川幅が広く、水量も多い。奴らの領地に近づくほど、相手に攻撃のチャンスを与えてしまうだろう。

だからすぐに渡河する。

そのあとは、まっすぐ西に進んで上田城を攻撃する。

この地形ではこうするのが明白だ。難しくもなんともない。

うん、理にかなっているね。どのあたりが難しいんだい、康国くん。

忠教様のおっしゃる通り、私もそのルートしかないと考えております。

ただ問題は、真田もこれを想定しているということです。何か手を打ってくるでしょう。

そうだね。

でもこっちには屈強な兵士が七千人もいるよ?

真田は即席の農民兵を合わせても二千がせいぜいだろうし、野戦は仕掛けてこないんじゃないかなあ?

はい、まともな野戦は仕掛けてこないでしょう。

まともではない野戦を仕掛けてくると言いたいのか?

はい。

甲斐一乱を思い出してください。

真田昌幸殿は、我が父とともにゲリラ戦によって北条軍の補給ルートを寸断し、大軍の利を逆手にとりました。

昌幸殿は大軍を相手にする戦に慣れているのです。必ず、何か仕掛けてきます。

なるほどねぇ、もっともだ。

でも、さっき君も言ったように、このルートしか選択肢がないんだろう?

上田城を攻撃するのであれば、このルートしか手はありません。

ははぁん、真田の他の城をを攻撃するのか。

はい。私はここから西の方角にある丸子城を攻撃することを提案します。

・・・・・・。

・・・康国、残念だが、それは無理だ。

我々は早期に真田を討伐しなければならん。

それは何故か伺ってもよろしいですか?

・・・・・・。

構わないよ、忠教。

了解した、兄上。

小牧と長久手で我が家は一応の勝利を手に入れた。しかし秀吉が仕掛けてきた政治的圧力には屈してしまった。

いや、屈さざる得なかった。家康様が担いだ大将、織田信雄そのものに裏切られてしまったからだ。

つまり、この戦が長引けば、これ以上の締め付けを秀吉が仕掛けてくる可能性が高い。

北にいる上杉の動向も気になる。最近、秀吉に接近しているからな。

敵の敵は味方というやつだ。真田を利用しないとは限らない。

と、まあ、恥ずかしい話だが、犠牲を避けるためにどんな手も使えるほど、我々にも余裕はない。

道中で真田がなにかしら仕掛けてくることは分かった。だが直接ぶつかってすぐに叩き潰すしか選択肢は無い。

そうですか・・・。

ありがとう忠教。

当然のことをしたまでだ。

さて、真田のことだけど・・・。

康国くんは、仕掛けてくるとしたらどんな手だと思う?

十中八九、奇襲でしょう。

神川(かんがわ)を渡れば上田城に至るまで、北には蛭沢(ひるさわ)と染谷(そめや)台があり、

南を千曲川とに挟まれた、狭い道が続きます。真田が奇襲をしかけるには格好の地形です。

こりゃまいったね。どうしようか。

ならば途中に少数の部隊を残しながら進み、奇襲に備えさせよう。

染谷台には哨戒(しょうかい)部隊を出す。奇襲しようとする敵軍を見つけたら、すぐに発見してくれる。

その上で本軍は一直線に上田城を目指そう。

なに、天守閣もない砦みたいな城だ。奇襲を仕掛けられる前にすぐに落とせる。

この作戦でどうだ。兄上、康国?

異論はないよ。

私も賛成です。

いやあ、弟達が優秀だと助かるなあ。

弟・・・『達』?

ギリ・・・。

・・・・・・。

(汗)

・・・・八重原台地にて合流中・・・

かくかくしかじか・・・。

・・・やけに慎重なのね。

ここらに一番詳しい彼があそこまで言うんだ。用心するに越したことはないよ。

そりゃあ、アタシだって用心に越したことはないと思うわ。でもね、あれを見てよ。

・・・・・・陣の先頭にて・・・・・

手柄が欲しいかー!!

うぉおおおおお! めっちゃ欲しいッスー!!

ならすることはなんだー!!

真田を○(ピー)すことッスー!

一番○(ピー)せる所はどこだー!!

最前線ッスーー!!

そのとぅーりっ!!

てめぇらの手柄は進まなくちゃ手に入らねぇ! 家康様も褒めてくれねぇ! そんなん嫌だろ!?

めちゃくちゃ嫌ッスー!

ならば進め! Ahead! Ahead! Go, Aheadだ! 覚悟はいいかー!

Testament!!

徳川の姓(かばね)に、勝利をっ!

家康様万歳!!

家康様万歳!!

家康様万歳!!

家康様万歳!!

<家康様万歳!   家康様万歳!> <家康様万歳!   家康様万歳!> <家康様万歳!  家康様万歳!>

家康様、万歳・・・!

万歳・・・。

(こんなテンションに哨戒とか後方待機とか言い出せない・・・。 どうしよう・・・。)

・・・第一幕:徳川軍侵攻<完>・・

次回、『第二幕:神川合戦』

ご期待下さい。

・・・・・・。

なんで徳川ばっかり出てるんじゃ?

真田がメインでは無いのか?

そもそもなんでワシがこの絵なんじゃ。信玄様の両眼と言えど、安直過ぎであろう。

父上は作者が持ち上げなくても十分すごいですから、この扱いがちょうど良いそうですよ?

その割にはずいぶん、けなされていたような・・・。それにどこかの誰かさんの影響を受けすぎじゃろ。

ハハッ。しょせん、空気読まずにキミPで戦国モノをぶち上げるような作者ですから。

さて、ここで読者の皆さんにお知らせがあります。

まずは、ここまでお読みくださってありがとうございました。長かったでしょう?

分かっているなら短くまとめろと言いたいのう。

そして、浅薄な戦国知識で大変申し訳ありません。

いい加減な解釈が多々あります(三河武士の皆さんごめんなさい)本当にすいません。

さらに言えば、鳥居さんと平岩さんのやり取りはすべて妄想です。なんの裏付けもありません。

いいえ、正直に言います。全てに裏付けがありません。歴史書ではなく、所詮ナンチャッテ戦記です。

ここでのことを覚えてもテストでは点が取れませんし、自慢げに話せば赤っ恥をかきます。

あぁ、こんな感じだったのかもね、という感覚でお読みください。どうか平に、平にご容赦を。

まあ、それでも作者は戦国時代に一般の方よりは詳しいので、

もし何かご質問があれば全力で答えさせていただきます。よろしくお願いします。

以上、作者のうわごとじゃ。

ところでおぬしは真田の誰役なんじゃ?

それは秘密です。

では、皆様、次幕でお会いいたしましょう。

左様なら・・・。

さよならじゃ。

今度こそおわり

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Posted at 2012/09/27 11:42 Viewed 45 times

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なんか無茶やり始めましたよこの作者。横文字使いまくりのナンチャッテ戦記ものですが許してちょーだい。ちなみに再生回数は確認などを含め8回くらい僕です。http://www.kimip.net/play/Q5jTZ(第二幕:上)

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