“陛下留学秘話 最終話「30日の全てを集約した日」”

前回までのあらとしてすじ コメントを見れば良いと思うよ。強いて言うなら「女はクソ」

最終博打大玉砕の翌日,陛下は昨晩の自暴自棄『カードキャプターさくら』礼拝で幾らか眠かった。

踏ん切りがついたとは言え悲しみが癒えない中,タイミングの悪いことにクラスメイトの女子が恋の話を開始する

やっぱりさぁ私は好きな人っていうのは…

なるほど~エンジニアさんは?

え,俺すか?いやぁ~あんまり考えたことないッス…何というか理想が高いっていうか…

う~ん理想が高いとやっぱり行き遅れちゃいますよ~

(殺してくれ…誰か…)

授業も最後ということで記念撮影タイム 未だ悲しみ拭えぬ男にちょっとどころではない恵みが舞い降りた

エンジニアさ~ん!!写真撮ろ!!

エンジニアさん私も私も~!!

お,おう… (これは"モテモテ"と認識してよいのだろうか…?先程からツーショットの嵐…フヒw)

哀れなキモ=オタクはつかの間の幸福を脳裏に刻みつけたのだった

ホストファミリーはもう身内,クラスもやっと馴染めた頃には既に終わりが近づいていた。まぁ,人生そんなもんだよな?

"陛下,初めてこの家に来た日,どんな約束をしたか覚えているか?"

"はい,既にほとんど吸っておりませんし,金輪際吸うこともないと思います。なので・・・"

"この余った2箱は要りません。"

"私は吸わないから受け取る意味はない。ならばこの…テレビの横にでも置いておこう"

"キミの勝ちだ,陛下!"

"はい!"

(実は一箱だけ残しておいたのはヒミツじゃ)

そして最後の晩餐を楽しみ,しばしホストファミリーとひとときを過ごした。もはや身内同然の彼らには感謝しかない。

日本に持ち帰るべきあらゆる荷物をまとめ,ママに献上するワインを収めたバッグをバスに叩き込んだ。もうすぐ入国空港へ再帰する

"今まで本当にありがとうございました。これはちょっとした感謝のプレゼントです。"

昨日食事の前に書いた手紙と一羽の折り鶴を添えたカードを渡した。我ながら粋なもんだ

"まぁありがとう!元気でね,楽しかったわ陛下!!"

"じゃあな陛下,体に気をつけろよ!"

"ありがとうございます,ミスターもお元気で"

マザーとはハグ,ファザーとは固い握手をし,バスに乗って一息ついた。すると外から呼んでるよとクラスに諭され…

自分の贈ったプレゼントを満足げに掲げ親指を立てるマザーが見えた。

さて。クラスメイトやお世話になった人たちに別れを告げ,バスで黄昏れながら,なんだかんだ充実した留学生活を振り返っていた。

(戻ってきたか始まりの地に。さて…引率も出払ったしいよいよ最後の大仕事,19人の五体満足無病息災での日本国入国…行くぞ!!)

八切しま~す

はい革命。

うっわマジっすか…!

(大富豪つまんねぇタバコ吸いてぇ…)

これ終わったらちょっと抜けます。何かあったら連絡ください

(さて・・・ぼちぼち一服する頃には搭乗開始か・・・)

あ,もしもし?そちらの方に女子の方全員居ますか?

いや,全員じゃないかな…でもさっき全員居たから多分皆来ると思う

じゃあ誘導お願いします,何かあればまた連絡ください。搭乗開始の~~分までにはそちらに向かいますから待機で。

(電話で指示しつつ一服…なんともデキる男って感じあるな。仕事すっぽかしてるだけだが)

おサボり陛下氏の的確な指示,もう一人のリーダーの誘導により全員が出国,あとは搭乗を待つだけだったが…

え~と搭乗時刻がこうで今ここに居るのとトイレに行ってるのが合算して…

エンジニアさ~ん!

エンジニアさんや~!

あ~どうもどうも!!

なぁ,これ空けてくれへん?

えっ?(普通のペットボトル…)キュッ はい

おぉ,ありがとうな~!

や~ん今のすっごいトキメイちゃうよね~

リーダーどう?!ドキッとした?!

え,あ,そうっすね・・・ハハ… (なるほどそう言う策があるのか…女とはかくも恐ろしき…

こうして我々は4週間滞在した地を離れ,シンガポール,そして偉大なる祖国へと飛び立った。

シンガポールに再び降り立つ。そこは往路で他大の人間に「同じ大学ですか?」と聞きまわった忌まわしき場所。しかし思いもよらぬ体験が

あ~~~エンジニアさん!!!おんなじ飛行機やったんやね!!

エンジニアさ~ん!!

おぉ! (こんなにモテたら次乗る飛行機落ちるぞ…)

でも次の便は別やし,握手しよ!握手!!

はっ,え?お,おぅ…

アタシもアタシも~~~!!じゃあねエンジニアさん!!

はい,皆もお元気で(やったやったやったやった女の子と握手握手握手あくあくあくクェーーーーーーーーーーーwwwww

そんな,女っ気のない人生だったからこそ感じたとてつもない幸福。忘却できるはずもない。

それに彼女らはなんだかんだ俺のクラスメイトだし,これも何かの縁ってやつだ。思えば楽しかったかもしれん

えー次のターミナルは反対側に行ってモノレールに乗って… じゃあ誘導しますんでついてきてください!

すみません後方から漏れがないか見てて貰えますか

分かった

それは,最後の大仕事を担うに相応しい男の背中だった。最後まで気を抜かずに…多少抜け出して一服しつつも全員を導ききっていた。

(いよいよこの飛行機で祖国に帰れる…もう安心だろう)

(かねてより計画していた作戦…明日の朝まで仕事は無い,この機を逃してはなりませぬぞ!!)

"すみません,シンガポールスリングを1杯"

"どうぞ"

(ビールとワインが苦手な俺はオーストラリアで禁酒を強いられた。週1の礼拝も不完全だった。)

(思えば色々あった。試練の連続,衝突や和解,バカバカしい恋と玉砕…孤独ながらも充実していた。生きている実感は確かにあった)

(今,シンガポールスリングと『カードキャプターさくら』で作れる「最高の夏」。礼拝を開始する)

結局カクテル3杯を飲んで2話分も視聴し,ベロベロのまま眠りについた。目が覚めたときには祖国はすぐそこだ。

結局起きたらもちろん二日酔いだった。祖国は目前である

ほどなく飛行機は成田空港に着陸し,我々は久々に日本国の空気を吸うことが出来た。

(後は仕上げだ,全員が入国できたら終わりだな) じゃあ飛行機降りたら誘導するんで手荷物持ってついてきてください

え~じゃあ荷物が来た人から入国してもらって待つなり帰るなりしてください

(17,18,19…よし,全員入国!!)

二日酔いと下痢の中,確実に19人の入国を確認した。これによって陛下氏のリーダー職務完遂,ついに戦いは終わったのである。

陛下は偉大なる両親と憎らしくも可愛い弟に迎えられ,自宅へと…

お腹痛いの?トイレ入ってきなよ

ウィッス…カクテル飲みすぎやした…

バーカ!バーカバーカバーカ!

帰る前に成田空港でスッキリしていった。なんとも,自分らしい終わり方だ

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Posted at 2016/11/12 01:54 Viewed 11 times

From Author

気づけば終わりは近づいていた。人を牽き,衝突し,和解し,尽くし,愛され,恋して,敗れた。目指すは日本国の土,本当の救済,最後の大仕事。

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