“自称勇者の冒険~15話目~”

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

………

……

~魔王の間~

魔王 「あ~…餅うめっ…」

魔王 「もう年明けちまったし……。 勇者も来る気配全く無いな……」

魔王 「そんな事より餅うめっ! いくつ食べても飽きないのう…!」

勇者 「魔王!お前を倒しに来たぞ!!」

魔王 「もがっ!?」

勇者 「やっとこれで… お前を倒す事が出来る……!」

勇者 「年末の間…魔王城の中を探索し、 俺は手に入れたんだ!!」

勇者 「伝説の勇者トロロの…… “トロロの剣”と”トロロの鎧” を俺は手に入れた!!」

勇者 「この手に入れた力で、 俺はお前を倒す!!」

魔王 「むぐぐ……」

勇者 「さあ…もうダラダラ続けるのは もう終わりにしよう!!魔王!!」

勇者 「俺はお前を倒して、 エンディングを迎えてやる!!」

勇者 「来年は迎える事が出来たが、 俺はまだエンディングを迎える事が 出来ていないんだからな!!」

勇者 「さあ…お前を倒せば、 全てを終わらせる事が出来る…!」

勇者 「伏線を張ったままのアレとか それとかを流れで一気に終わらせるチャンスでもあるんだ!!」

勇者 「さあ……行くぞ魔王!!」

魔王 「むぐっ……むぐぐーっ!!」

勇者 「聞いているのか、魔王!!」

魔王 「ちょっ……頼みが……ある…。 背中を…背中を……」

勇者 「背中を?何が言いたいんだ? まさか俺が背中を向けている間に 後ろからザクッとやるつもりか!」

魔王 「違……背中を……叩いて……」

勇者 「え?背中を…叩け、だと?」

魔王 「ああ……頼む」

魔王は勇者に背を向けた!

勇者 (魔王め…一体何を考えている…? まさか……トラップ!?)

勇者 (だったら全力で答えるまでだ!)

トロロの剣を外した。

トールハンマーを装備した。

魔王 「は…早くしてくれ…餅が…」

勇者 「分かった!少し待っててくれ! 力を貯めるから!!」

魔王 「は…早くしてくれ…」

勇者 「行くぞ!魔王!! その背中に一撃をくれてやる!」

魔王 「むぐっ…むぐ…ごくん」

魔王 「ふ~… あやうく餅で死ぬかと思っ……」

勇者 「トォオオオォルハンマァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

勇者 「アターーーーーーック!!!」

魔王 「ファッ!?」

ズドォォオオオオン!!

会心の一撃!! 魔王に9999のダメージ!!

魔王を麻痺させた!

魔王はしびれている……。

勇者 「よし、攻撃は効いている! 続いて二発目行くぞっ!!」

トールハンマーを外した。

エクスカリバーを装備した。

勇者 「エクス………カリバァアアッ!」

シャキィィイイイインッ!!!

会心の一撃!! 魔王に9999のダメージ!!

魔王を倒した!! 0経験値と0Gを手に入れた。

勇者 「よし!魔王を倒したぞ!!」

勇者 「これで後はエンディングを 迎えるだけだ!!」

勇者 「さあ、お城に帰ろう!」

ちょっ……

魔王 「ちょっと待てぇえええい!!」

勇者 「何だ…まだやる気なのか?」

魔王 「ふいうちとは卑怯な……。 貴様ぁっ!それでも勇者か!!」

勇者 「勝つ為なら手段を選ばない… それが俺だよ俺!俺勇者、だっ!」

魔王 「汚いな流石勇者汚い」

勇者 「汚くて結構! 俺はさっさとENDINGを迎えたいだけ だっ!!」

魔王 「ふん…偽りの勇者が調子に乗りおって……!!」

勇者 「俺は偽りの勇者じゃない!! 俺は勇者だっ!!」

魔王 「何を言っているのだ? お前は勇者ではなかろうが。 我は全て知っておるのだぞ…」

魔王 「お前が勇者などではなく…… ただの村人Aだという事も……」

魔王 「お前には勇者の資格など 初めから存在していない事もな…」

勇者 「だ、黙れっ!魔王!! 俺は勇者だ……本物の勇者だ!!」

魔王 「ククク…愚かな奴だ。 そんな嘘をついてもわしには 全て分かっておるというのに」

魔王 「何故お前が勇者でないと言うのか その理由を教えてやろう…」

魔王 「まず結論から言えば…… この世界の本来の“勇者”は、 今、世界には存在していない」

勇者 「なん……だと……?」

魔王 「勇者…貴様はソフトリセットという呪文を知っておるかの?」

勇者 「ソフトリセット……。 確かタイトル画面に戻る魔法…」

魔王 「そうじゃ。 そしてその勇者はソフトリセットを使い、この世界から消えた」

勇者 「ちょ…ちょっと待ってくれ! ソフトリセットはタイトル画面に 戻るだけの魔法のはずだ!」

勇者 「そんなので勇者が消えるなんて事はないはずだ!!」

魔王 「……消えるのだよ」

魔王 「その勇者はソフトリセットする前に、冒険の書に全く記録していなかったのだからな」

勇者 「……!!」

魔王 「勇者…お前は勇者が消えた後の 世界がどうなるか知っておるか?」

魔王 「たとえリセットされたとしても、 世界はそのままの形で残され続けるのだ……」

魔王 「そう……“記憶”としてな。 人々の心の中に永遠に残り続ける」

魔王 「それが、この世界の真実だ」

魔王 「我も、お前も…… 人々の記憶が生み出した記憶でしかないのだよ」

勇者 「…………」

魔王 「そしてこの世界は無数に存在し、 それぞれ違う世界が広がっている」

魔王 「そしてそれらの世界は 無限に広がり続けるだろう」

魔王 「分かったであろう、村人Aよ。 この世界に終わりなどない」

魔王 「故に我とお前が戦っても、 それは意味の無い事」

魔王 「我を倒そうともエンディングなど無い。この世界からエンディングなど当の昔に切り捨てられている」

魔王 「それでも貴様は我を倒そうというのか?我を倒したとしても、 お前の望みは叶わぬぞ?」

魔王 「お前の望みは叶わない。 我を倒したとしても、その後には 無しか残らぬぞ」

勇者 「俺は……」

………

……

その時…勇者の脳内に様々な記憶が蘇ってきた……。

王様 「えっ」

勇者 「俺の名前は勇者……ッ! いずれ世界を救う男……ッ! 俺の名前は勇者だよッ……!」

番人 「だが君には一つだけ…… 言っておかなきゃならないッ!」

番人 「そう、死なない事さっ!」

魔物 「テヘペロオオオオオオッ!!」

ウサデス 「貴様のような者では…… 魔王様に勝つ事など出来ない…。 貴様のような偽りの勇者などな…」

宿屋 「昨日はお楽しみでしたね」

??? 「俺の屍を…越えていけ!勇者!」

賢者 「あまり私を怒らせない方が良い」

魔法使い 「駄目ねこの勇者…… 早く何とかしないと……」

少女 「職務質問ですかっ!?」

暗殺者 「べ…別にアンタの事が好きなわけじゃないんだからねっ!!」

勇者 「そうだ…俺は……」

勇者 「俺は……自称勇者だっ!!」

自称勇者 「俺は……自称勇者だっ!!」

魔王 「何を言っている……? たとえ自称であろうとも、 お前は勇者には絶対になれない」

魔王 「何故ならばお前は…村人Aでしかないのだからな…」

自称勇者 「そう……俺の名は村人A!! そしてまたの名を自称勇者だっ!」

自称勇者 「たとえ俺がただの記憶でしかなくても…俺が勇者では無かったとしても…」

自称勇者 「いや、一つ違うな……。 俺は勇者じゃなくて自称勇者だ。 だからあえて言おう」

自称勇者 「これが俺の……」

自称勇者 「自称勇者の冒険だっ!!」

魔王 「クックック……」

魔王 「クカカカカカッ!!! 自称勇者だと?笑わせてくれる!」

自称勇者 「笑いたければ笑えばいい。 そして俺はお前を倒す事で エンディングを手に入れる」

魔王 「ふははは!さっき言わなかったか? この世界にエンディングは存在しない!!」

魔王 「我を倒したとしても、 その意味は全く無いのだぞ!」

自称勇者 「いいや…エンディングはあるよ」

魔王 「何……?」

自称勇者 「エンディングが無いなら…… 作るだけさ!俺がエンディングを作る!それだけの話だ!」

魔王 「なん…だとぉっ……!!」

勇者 「さあ…決着をつけよう、魔王! 俺はお前を倒してエンディングをこの手で作り出す!!」

魔王 「勇者ぁぁあああああっ!! ふざけるな!!そんな事させぬ!! 絶対にさせぬわぁあああっ!!」

魔王 「ならば…ならば今こそ我の真の姿を見せてやる!!」

魔王 「この…進化の秘宝を使ってなぁ!!」

魔王は進化の秘宝を使った!!

魔王 「ククク…力が…みなぎる…。 これが進化の秘宝の力か……!!」

魔王の姿が徐々に変化していく!

魔王 「力が…力がみなぎってくる…。 ククク……ハハハハハハ!!」

魔王 「グガァアアアアアアアアッ!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

自称勇者 「な……何だっ!?」

魔王 「ククク……勇者よ……。 我に挑んだ事、後悔するがよい…」

魔王 「見よ!!これが進化の秘宝を使い、 手に入れた究極の姿ダ!!」

魔王 「我は魔王!! この世界の主にして魔界の王!」

魔王 「愚かなる自称勇者よ!! ここで朽ち果てるが良いっ!!」

………

……

つづく……。

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Posted at 2013/01/05 01:55 Viewed 27 times

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明けましておめでとうございます。次回で完結するかもしれません。

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