“幼馴染のお願い4”

土曜日ーー······

明日は男とデートか~。 何か今から緊張してきた···。

男も妹もそんな場所で良いのかって言うけど、私は夢だったんだ~。 男とあそこに二人きりで行くの。

ねぇ、聞いてる?

聞いてるわよ~。 ちなみにその話昨日も学校で聞いたわよ。

挙げ句休日の昼間っから電話で呼び出して独り言とはね···。

ご、ごめんなさい女ちゃん。

ふぅ、もう良いわよ。 初デート···とはまぁ、ちょっと違うけど似たようなもんなんだしそりゃ緊張もするわね。

女ちゃぁ~ん···。

はいはい、話くらい聞いてあげるから落ち着きなって。

ありがとう、女ちゃん。

男の部屋ーー······

部活帰りに寄ってみたらなんだい、明日はデートだって? 酷いな男、そんな面白一大事をどうして教えてくれなかったんだい?

そうやって茶化されると思ったから言わなかったんだ。 大体デートじゃねぇよ。 ただ二人で出掛けるだけだ。

世間一般ではそれをデートと言うって知っているかい男?

ガキの頃から一緒にいるんだ、今さらそんな色っぽい出来事には感じないね。 向こうも出掛けたいとしか言わなかったし。

幼馴染みさんの方は間違いなくデートのつもりだと思うんだけどね。

それはないだろ。 それならもっとデートに相応しい場所にすると思うしな。

一般的なデートには相応しい場所だと思うけど?

ガキの頃から散々行った場所だぞ? ここいらの小学生で行ったこと無い奴はいないくらいのな。

それはそうだろうね、僕も子供の頃は両親と足繁く通ったものだよ。

だろ? 友。

喫茶店ーー······

今日は外なんだな。

今日はおねぇちゃんの友達が来てるからね。

あーうちも友にーちゃん来てたわ。 なぁ、これもデートに入るのか···?

さぁ、どうかしらね?

ちぇっ ちょっと期待してたのに···。

ウフフ(可~愛い。)

で、明日のデートはどこに行くんだ?

遊園地よっ

ゆ、遊園地···? あぁ、ネズミの···

いえ、地元の。

···え、今更?

そうよね、普通そう思うよね。 あたしもそう思ったわ。

おい、何か話が見えねぇんだけど。

うん、明日ね、おねぇちゃんとお兄ちゃんがそこでデートなの。

おー、何だよあの二人やっとくっついたのか。

それはまだなんだけど、明日は二人でそこに出掛けるの。

付き合う前の初デートか···あいや初ではないか。 しょっちゅう二人で出掛けてたし。

だからなんでそこなのかあたしにはよくわからなくて。

ふぅ~ん。 まぁ、姉ちゃんには姉ちゃんなりに考えがあるんだろうな。 で、明日は二人の尾行か?

尾行だなんて、影からそっと見守るだけだよ。

(それを尾行って言うんじゃ?) そうか、まぁ、いいや。 兄貴達が心配なさそうなら俺らも普通に遊園地でデートすりゃ良いだけだしな。

なっ し、しないわよばかっ

にしししし

じゃあ明日は寝坊しないようにね。

はいはい、大丈夫だって。

じゃあまた学校でね女ちゃん。

はいはい、幼。 しっかりやんなよ?

うん、がんばるっ

じゃあまたね、男。 月曜は良い報告を期待してるよ。

安心しろ友。 お前に報告すべき事など起こらないから。

さて、どうかな? 僕の勘はよく当たるんだ。

あら、男に友じゃない。 何やってんのあんたら?

やぁ、女じゃないか。 僕は部活の帰りに男の家に遊びに来たんだ。 そちらは?

あたしは幼に電話で呼び出されたのよ。

皆さんもうお帰りですか?

あら、妹ちゃんじゃない!! もう中3だっけ? 可愛くなったわね♪

お久しぶりです、女さん!

久々に会えるの楽しみにしてたのに来たらいないんだもん。 隣の人は?

あぁ、弟くんって言って男お兄ちゃんの弟なんです。

そして、あたしの彼氏で~す。 えへへ···。

えぇぇぇぇぇ!!!!?

えぇぇぇぇぇ!!!!?

って幼、何であんたまで驚いてるのよ?

い、妹、お姉ちゃん初耳なんだけど···。

あんたら姉妹はどうなってんだ···。

あー、おねぇちゃんには言ってなかったっけ。 ごめんね、おねぇちゃん?

(わざとね)

(わざとなんだろうなぁ)

(幼は知らなかったのか···)

(女って怖い···)

うぅ、妹に先を越されるとは···。 お姉ちゃんショックだよ。

ショック受けると思って言わなかったんだけど、女さんと話してたらつい言っちゃったの。 テヘペロ

ぐすん···。 ちょっとコンビニ行ってくる···。 トボトボ

おねぇちゃんごめんね~。

ちょっ、幼ぁ! 行っちゃった。

追いかけなくても良いのか?女。

ん~、あたしはお兄ちゃんが行くのが良いと思います。

え!? お、俺!? いや、俺関係無いし···

それは良い考えだね妹さん。 僕も賛同するよ。

あー、まぁこの中じゃ男が適任か。

お、お前らなぁ。 (味方がいない···。)

良いじゃない、行ってやんなさいよ。 大体あんたが煮え切らないから幼はあんなにショック受けてんじゃない!

いや、俺らは別にそんなんじゃ···。 幼は俺の事友達くらいにしか思ってないだろうし。

それ本気で言ってる?

あんた幼が今日あたしになんて言ってたと思う?

明日はあんたとデートだって、今から緊張するって言ってたんだよ?

デ、デートなんかじゃ···。 明日はただ出掛けるだけだし。 幼にはそう言われたし。

まだ言うか!

じゃあ、あんたは幼の事どう思ってるのよ!? 好きなの?それともただの"幼馴染み"なの!?

お、俺は···。

言えないの!? とんだチキン野郎ね! この臆病者!弱虫!

くっ···。

···悪いかよ、臆病で。 怖いに決まってんだろ。 ずっと一緒にいて、こんだけ距離が近いのにあいつがどう思ってるかなんて全然分かんねーよ!

幼の気持ちなんて関係無い! あんたが幼をどう思ってるかが、一番大事なんじゃないの!!?

···るせぇよ···。

うるせぇよ! あぁ、言ってやるさ! 好きだよ、俺は幼の事が好きだ。 これで満足かよ!? ダッ

あ、兄貴!!?

行っちゃった···。

ふんっ 遅いのよ! あたしじゃなくて幼に言えってのよ!

図らずも、妹さんの思惑通りって事かな?

さぁ、何の事でしょう? (友さん、50点てとこね、色々全部が計画通りですよ。)

(家帰りたいな~、俺空気だし。)

さて、スッキリしたし帰ろうかな···と、思ったけど妹ちゃんと弟君···だっけ? 詳しく話を聞かせてもらうわよ~♪

えぇ!?

大丈夫、悪いようにはしないから。 妹ちゃんの部屋で良いかしら?

あー、はい。 (下手に逆らうより従った方が楽だし。)

よし、じゃあ行きますか。 ガチャ、パタン

弟君が空気かと思ったら自分の方が空気だった···。

くっそ、あいつ好き勝手言いやがって! タッタッタ

俺にどうしろってんだよ···!

はぁ···。

あれ、男だ。 どしたの?怖い顔して。

はっは~ん、さては女ちゃんと喧嘩したね? ダメだよ、女の子には優しくしなきゃ。

幼···。 (いつの間にかコンビニまで来てたのか···。)

大丈夫~?男。

あ、もしかして男も妹達が付き合ってるの知らなくてショック受けちゃったとか? いやービックリしちゃったよね。

幼、俺···。

俺は、お前が···。

どしたの男···? 何か、怖いよ、今の男。

うぐっ はぁ、いや、何でもない。 忘れてくれ。

ホントに大丈夫? 何かあった?

何でもない、何でもないんだ。 これは、俺の問題なんだ···。

でも···

頼む、一人にしてくれ···。

···うん、わかった! ちょっとしつこかったかな? ごめんね、男。

幼は何も悪くない、だから謝らないでくれ。

男···。

じゃあ。 ···幼、明日のデート楽しみにしてる。

行っちゃった。 大丈夫かな~、男。 心配だけど一人にしてくれって···。

って、あれ? さっき男デートって言った? え?え?え?え?え?

はぁ···。 臆病者、か。

実際そうだよな、好きなのに、相手の気持ちを確かめるのを怖がってあと一歩が踏み出せない。

あら、男君じゃない。 どうしたの? こんなところで。

あれ、先生? 先生こそどうしてここへ?

どうしてって、ここは私の実家のお寺よ。

そ、そうだったんですか。

何だか随分と悩んでいたみたいじゃない? ほら、先生が聞いてあげるわよ。

遠慮します。

そ、そんなっ 先生ってそんなに頼りないかしら?

いえ、結局自分で答え出さなきゃいけないものなんで。

幼ちゃんの事でしょう?

はぁ。 先生、俺ってそんなに分かりやすいですか?

隠してるつもりでも回りからはモロバレな事って結構あるのよ~。 色恋沙汰は特にね。

そんなもんですかね。

そんなもんよ。

···正直俺は今のままでも良いかなって、そう思ってたんです。 相手の気持ちを知るのが怖い、今が壊れてしまうんじゃないか。

特になにもせずに傍にいれるなら、何もしなくて良いんじゃないかって。

でも、そうやって相手の気持ちを理由にして逃げてただけなんですよね。きっと。

臆病者でチキンで弱虫だって、言われちゃいましたよ。 お節介な奴に。

良い友達じゃない、大切にするのよ?

···はい。

でもそうね、相手の気持ちを確かめる前に決めつけて勝手に逃げる口実にするのは良くないわね。

あなたは行動では好意を示してるけど気持ちは素直になれてないのね。 (幼ちゃんとは真逆ね。)

端から見たらモロバレですか。

ええ。 それに気づかない幼ちゃんもまぁ、ね。

とにかく、ぶつかる前に気持ちで砕けないで一度ちゃんとぶつかってみなさい! それから砕けたって遅くないんだから。

先生なんか砕けてばっかりなのよ···?

砕ける事前提ですか···。

根拠の無い自信に満ち溢れるよりはよっぽど良いわよ。

ははは、確かにそのくらいが丁度良いです。 ···ありがとうございます、先生。 ちゃんと、ぶつかってみます。 正面から。

頑張ってね♪

はい、じゃあ俺帰ります。 ありがとうございました。 ペコリ

頑張りなさい、男君。 まぁ、心配は全くしてないけど。

はぁ、若いって良いわね~♪ 私も恋したくなったわ。 賽銭箱に年下で資産家のイケメンは入ってないかしら?

第五話に続くーー······

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Posted at 2012/09/17 05:49 Viewed 19 times

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第四話です。ここに来て新キャラとかバカなんですかね?今更ですが男共の私服姿が欲しいですね。ずっと制服なんで違和感が···。

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