“自称勇者の冒険~4話目~”

とある辺境の村に… ****(アスタリスク) という名の勇者がおりました。

ある日の事…… 勇者****は王様に呼ばれ 城へ招かれました。

王様 「よくぞ来た勇者よ。  何故わしがそなたを呼んだか  分かるか?」

**** 「そりゃ…俺が勇者だからだろ?」

王様 「そうじゃ」

王様 「お主は選ばれし者。  そこでお主に頼みがある」

王様 「魔王を倒し、  世界を救うのじゃ!」

**** 「お安い御用だぜ!  全パラメータMAXの俺に  敵はいないZE!」

**** 「俺TUEEEEEEEッ!!」

王様 (こやつのステータス……)

ピッ。

**** Lv.1 [勇者] HP:9999 MP:9999 攻撃力:9999 防御力:9999 素早さ:9999 運:9999

王様 (うわぁ……これってチー……)

**** 「王様!どうかしたか!?」

王様 「……いや、何でも無い」

王様 「ではこれを持っていくが良い。  旅の助けとなるだろう」

****は錆びた剣と50円を貰った

**** 「……王様?」

王様 「何じゃ?」

**** 「これで魔王を倒して来い…  って言う気か?」

王様 (なんかつい最近…  同じような事を言った者が  おった気がするが……)

王様 「それが勇者の基本的な  初期装備じゃよ」

王様 「うちの城は資金的な余裕が無い。  強い装備が欲しいなら自分で…」

**** 「悪いけど俺、  錆びた剣も50円もいらないッ!」

王様 「えっ」

**** 「何故なら俺ッ!  もう伝説の剣も持ってるし、  所持金もMAXだしッ!!」

**** 「俺TUEEEEEEEEEッ!」

王様 (それやっぱりチー……)

**** 「今ならッ、魔王も楽勝だし、  暗黒王も闇の帝王も  楽勝だぜッ!」

**** 「ヒャッハー!俺マジ最強!!」

王様 (駄目だこいつ…  早くどうにかしないと……)

**** 「それじゃ、行ってくるぜ!  魔王なんて1ターンで  倒してきてやるよ!!」

**** 「じゃあな~、王様!!」

王様 「………」

王様 「……」

王様 「ちょっと電話かけるか…」

ピ、ポ、パ。

トゥルルルル……

トゥットゥルルル……

ガチャ。

GOD 「もしもし?私が神だ……」

王様 「もしもし、わしじゃよ。  わしわし、わしキング」

GOD 「おっ、王様久しぶり~。  元気してる?」

王様 「わしは元気じゃ。  んで、少し頼みたい事が  あるんじゃが……」

GOD 「えっ、何々?」

王様 「実はうちにチート勇者が  来てのう……」

王様 「ゲームバランス的にやばいから  どうにかしたいのじゃが…」

GOD 「チート勇者~?  ああ、最近話題の****か。  困るよねぇ、ああいうの」

GOD 「自分の力で強くなったわけでも  ないのに俺TUEEッ!  とか言ってるやつでしょ?」

GOD 「最近ああいう勇者増えてるよね。  うちとしても困ったもんなのよ。  ついこの前だって…ぶつぶつ」

王様 「…で、どうにかならんかのう?」

GOD 「私の部下のプロっちゃんに  お願いすれば何とかなるかも。  あの子中々やり手だし」

GOD 「あとは…そうだなぁ」

GOD 「教会に問い合わせて  ****が全滅したら  そのまま放置って指示出しとく」

王様 「すまんな…色々無理言って」

GOD 「良いって良いって。  機会があったら今度飲みにでも  行こうよ。某竜王大陸に」

王様 「それじゃ、またの」

GOD 「はいは~い、またね~」

ピッ……。

………

……

その頃の****(アスタリスク)。

**** 「よっしゃ~!!  ついにやって来たぜ魔王城!」

**** 「さっさと倒してエンディングだ!  長かったぜ~!」

**** 「お!あれが中ボスだな!  よ~し、さっさと倒して  魔王の間に突入だ~!」

中ボスがあらわれた!

****の攻撃! 中ボスに0のダメージ!

中ボスは様子を見ている……。

**** 「あ、あれ……?  おかしいな…。  俺の攻撃が効いてない……?」

****の攻撃! 中ボスに1のダメージ!

中ボスはドヤ顔をしている…。

**** 「くそっ!何でだ!?  今までのボスはオーバーキルで  楽勝だったのに!!」

中ボスは詠唱を始めた……。

**** 「呪文か!  でも呪文なんて俺には効かねえ!  俺はTUEEんだからな!」

中ボスはザラなんとかを唱えた!!

**** 「へっ…そんな呪文が  俺に効くかぁッ!!」

**** 「ぐふっ!」

****は全滅してしまった……。

……

**** (へっ…でも教会に  送り返されるだけだろっ!)

**** (全回復してもう1回行けば良い…  今度は即死防止の装備で  行けば良いんだからなッ!)

**** (しっかしなんか復活遅せーな…。  目の前が真っ暗だぜ……)

**** (いつになったら  俺は復活出来るんだ?)

どこからともなく声が聞こえる…。

??? 「勇者****よ…。  あなたは死にました…」

**** (それは分かってるよ。  だから早く復活させてくれよッ)

??? 「それは無理です…」

**** (はあ?何でだよ。  俺は勇者だぞ!!)

??? 「あなたは私達の世界における  最大の禁魔術…“チート”を  使いました……」

??? 「初めから全パラメータMAXなど  という面白味の無い行為を  私は許してはおけません……」

**** (そんなの俺の勝手だろ!  大体お前は誰だよ!  俺の冒険を邪魔しやがって!)

??? 「私は……この世界」

プログラム 「正確に言えば、  この世界の全てを構築している  プログラムです」

**** (なん…だと…?)

プログラム 「あなたは私を怒らせた……。  故に私はこれを消去します」

**** (そ、それは……!?)

プログラム 「これはあなたの冒険の全てが  入っている書物……」

プログラム 「すなわち、冒険の書です」

プログラム 「これを消せば冒険はもちろん…  全パラメータ、全所持アイテム…  全てが消えます」

プログラム 「もちろん****(アスタリスク)  あなたも消えます」

プログラム 「あなたには罰として……」

プログラム 「うっかりセーブデータを  上書きしてしまいRPGを最初か  らやり直す時の絶望を与えます」

**** 「う、うわぁぁぁッ!!  や、やめろぉおおおッ!!」

プログラム 「えい」

**** 「あっ」

冒険の書1は消えました。

………

……

トナリノ村 ~酒場~

魔法使い 「………という夢を見たのよ」

賢者 「へえ~…それはそれは」

魔法使い 「ところで昨日毒の沼で倒れてた  人の様子はどうなの?」

賢者 「ええ、よくお休みになってます」

魔法使い 「全く…何であんな場所で  倒れてたのかしら」

魔法使い 「おかげで私のHPも  減っちゃったじゃない……」

魔法使い 「薬草の一つも持ってないなんて  非常識にも程があるわ…」

賢者 「まあまあ。  誰だってミスくらいしますよ~」

魔法使い 「……まあ、良いけど」

魔法使い 「あの男が回復したら  私の仕事を手伝ってもらう事に  するわ!!良いわね!」

賢者 「了解~ッ」

つづく……。

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Posted at 2012/07/13 20:57 Viewed 38 times

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※この物語の主人公は村人A(自称勇者)です。

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